米金融当局の海外重視派、発言力増す-世界の出来事が政策を左右

更新日時
  • 英国のEU離脱の選択は国際的問題の影響力をあらためて浮き彫りに
  • 英投票結果を受け市場は9月にも利下げが実施される可能性織り込む

英国による欧州連合(EU)離脱の選択は、グローバル化に反対票を投じたものと受け止められた。一方、米金融当局にとっては、国際的な問題がいかに金融政策に影響を及ぼすかをあらためて示した。

  米金融当局の責務は物価安定と最大限の雇用の実現という国内に重点を置いたものだ。だが、これら2つの目標は経済成長や金融情勢、個人消費の動向など、海外動静の影響を受ける諸要因に左右される。

  こうした状況の下、米金融当局者のうち、追加利上げ先送りの理由の1つとして世界的なリスクを強調する向きと、より国内重視派との間の相違は薄れ始め、前者の海外重視派の主張が優勢となっている。

FOMC後に会見するイエレン議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Janet Yellen

  オックスフォード・エコノミクスの米マクロ経済責任者、グレゴリー・ダコ氏は「もっと世界的な観点から米国を観察しようとする傾向が広がりつつあり、最近では英国のEU離脱がそれを明確に示す出来事となった」と指摘。一段と国際的な思考への転換は過去2-3年に顕在化し、過去数カ月に「勢いを増した」と語った。

  米金融当局が過去1年間に利上げを先送りした際、国際的な出来事に言及したのは少なくとも3回ある。1回目は中国が昨年、事実上の通貨切り下げに踏み切って世界的な市場の混乱を招いた時で、2回目は今年1-3月(第1四半期)にアジア経済の減速によって市場に動揺が広がったケースだ。より最近では、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)直後に控えた英国民投票が挙げられた。

  ダラス連銀のカプラン総裁は30日のインタビューで、「われわれは米国の中央銀行であり、それがわれわれの責務だ」としながらも、「そうは言っても、米国のためには最新の世界的な金融・経済情勢を分かっていなければならない。世界的に相互の関連性が強まる中で、われわれへの影響も強まる」との考えを示した。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)理事は28日、シカゴで講演し、「世界的な経済・金融情勢は米経済にとって現時点で特に重要だ」とし、英国のEU離脱でリスクはさらに下方にシフトしたと発言。「世界的な見通しが変化する中で、米経済および、われわれの目標達成に向けた持続的前進を促すのに適した政策スタンスにとって、その意味合いを評価することが重要になろう」と付け加えた。

  米金融当局では、海外重視派が今後も強い発言力を持つ見通しだ。英国の国民投票の結果を受けて、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む年内の米利上げの確率はほぼゼロとなり、9月にも利下げが実施される可能性をわずかに織り込みつつある。

原題:Fed Internationalists Vindicated as Global Risks Lead Policy (1)(抜粋)

(ダラス連銀総裁の発言やチャートを追加し更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE