アベノミクスが争点の参院選(10日投開票)を前に、景気の不透明感を浮き彫りする経済指標が相次いだ。日本銀行の企業短期経済観測調査は大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が横ばいだったが、英国の欧州連合(EU)離脱の影響を反映していない。物価はマイナス幅が拡大している。

  景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた短観(6月調査)DIは大企業・製造業がプラス6(ブルームバーグ調査予想プラス4)と3月の前回調査と同じだった。日銀が1日発表した。EU離脱を決めた英国の国民投票結果が判明した6月24日までに9割台後半の回答を得ており、投票結果はほとんど織り込まれていないと日銀調査統計局の中山興・経済統計課長は説明した。

英のEU離脱判明前に大半が回答
英のEU離脱判明前に大半が回答
Photographer: Jasper Juinen/Bloomberg

  非製造業はプラス19(同19)と3ポイント悪化。先行きは製造業がプラス6、非製造業はプラス17。為替相場の前提は2016年度で1ドル=111円41銭。英のEU離脱決定後一時100円を割り込んだ急速な円高も反映されていない。為替は現在1ドル=103円前後で推移している。日銀は28、29両日開く金融政策決定会合で当面の金融政策運営方針を決める。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは日銀短観を「意外にしっかりした数字」と評価した上で、英のEU離脱後の急激な円高について「完全には織り込まれていないだろう。企業の景況感は今後悪化すると見ている」と予想した。また「設備投資計画の数字もしっかりしているようにみえるが、実態はそれほど強くないのではないか」と指摘した。

  この日発表の5月の消費者物価指数(コアCPI)前年比は前年比0.4%低下と0.1ポイントマイナス幅が拡大した。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはCPIと短観を受けて「日銀が臨時会合を開くかどうかというと確率は低下している」と述べた。その上で「あらゆることが危機モードから様子見モードになってきていると思う」と話した。

16年度の設備投資

  日銀短観での2016年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比6.2%増と3月調査(0.9%減)から引き上げられた。市場の事前予測(5.6%増)も上回った。中小企業の業況判断DIは、製造業がマイナス5と1ポイント悪化。非製造業は0と4ポイント悪化。先行きはそれぞれマイナス7、マイナス4と悪化を見込んでいる。

  6月15、16両日の金融政策決定会合の「主な意見」によると、1人の委員が日銀版コアCPIや予想インフレ率指標に「弱さがみられる」など、物価目標達成に「警戒信号が点滅している」と指摘。2%達成時期が遅れる蓋(がい)然性が高くなる場合は、「追加緩和により、2%達成に向けた日本銀行のコミットメントを、人々とマーケットにあらためて示す必要がある」と述べた。

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