5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は3カ月連続のマイナスとなった。生鮮食品を除く食料や、テレビなど教養娯楽用耐久財の伸び率鈍化が全体を押し下げた。日銀が独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIも一段と鈍化した。

  総務省が1日発表した5月の全国コアCPIは前年比0.4%低下した。マイナス幅は前月(0.3%低下)から拡大した。ブルームバーグがまとめた予想中央値と同じだった。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.6%上昇と事前の予想と同じだった。

  日銀は1月末にマイナス金利政策導入を決定、金利全般を押し下げ2%の物価目標実現を目指しているが、コアCPIは水面下で推移しており、物価への効果は出ていない。日銀内からは物価目標2%の達成に警戒信号が点滅しているとの声も上がっている。英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、海外発のリスクも拡大している。日銀は28、29両日開く金融政策決定会合で当面の金融政策運営方針を決める。

  日銀は物価の基調を見る上で、独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIを重視している。1日午後発表された5月分は0.8%上昇と、2カ月連続で鈍化した。黒田東彦総裁は「物価の基調が着実に改善している」という判断の最大の根拠として、日銀版コアCPIが前年比1%を上回って推移していることを挙げていた。

日銀版コアCPIはさらに鈍化へ

  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは26日付のリポートで、物価が上昇していた前年同時期の反動に加え、ナウキャスト日次物価で6月も食料品や日用雑貨価格が減速しており、日銀版コアCPI、コアコアCPIともに「減速傾向が続く」とみている。

  先行指標の東京都区部6月中旬速報はコア指数が0.5%低下と、6カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は前月と同じだった。コアコアCPIは0.4%上昇と前月(0.5%上昇)を下回った。事前の予想はそれぞれ0.5%低下、0.4%上昇だった。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは24日付のリポートで、ニューヨーク原油先物相場(WTI)は1バレル=50ドル近傍まで持ち直したため、エネルギーの下落幅拡大はおおむね止まり、早晩縮小に向かう見通しながら、今後は円安効果の減衰によってコアCPIは7月までマイナス圏で推移し、日銀版コアCPIも緩やかに鈍化するとみている。

日銀版コアCPIは0%台前半へ

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは1日付のリポートで、コアCPIはエネルギー価格の動きを受けてマイナス幅が縮小へ向かうものの、日銀型コアCPIは円高を映じて上昇率が低下し、これら2つが「0%台前半で収斂(れん)する」と見込んでいる。

  日銀は7月会合で新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定する。前回4月のコアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)は2016年度が0.5%上昇、17年度が1.7%上昇だった。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは同日付のリポートで、「物価を取り巻く環境から考えれば明らかに高い」として、展望リポートで「下方修正に追い込まれることが必至の情勢だ」としている。

  6月15、16両日の金融政策決定会合の「主な意見」によると、1人の委員が日銀版コアCPIや予想インフレ率指標に「弱さがみられる」など、物価安定目標達成に「警戒信号が点滅している」と指摘。2%達成時期が遅れる蓋(がい)然性が高くなる場合は、「追加緩和により、2%達成に向けた日本銀行のコミットメントを、人々とマーケットにあらためて示す必要がある」と述べた。

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