円が反発、英EU離脱の影響への懸念根強い-対ドルで102円台前半

更新日時
  • 午後に102円18銭までドル安・円高進行、前日の海外で一時102円84銭
  • 投資家心理一気にリスクオンに傾かないという表れ-外為どっとコム

29日の東京外国為替市場では円が反発。朝方開催された政府と日本銀行の会合で市場安定化に向けた具体策が打ち出されなかったことや、英国の欧州連合(EU)離脱による世界経済の先行き懸念が根強いことを背景に、円買いが優勢となった。

  午後3時42分現在のドル・円相場は1ドル=102円31銭前後。前日の海外市場では欧米株の反発を背景に2営業日ぶりの水準となる102円84銭まで円安が進んだが、この日の東京市場では政府・日銀会合終了後の9時ごろから徐々に円買いが強まり、午後には102円18銭まで値を切り下げた。

  外為どっとコム総研の神田卓也取締役調査部長は、きのうの海外で株高、円安、あるいはポンド高となった反動が出ているのだろうと言い、「投資家心理も一気にリスクオンには傾かないという表れ」だと指摘。「ドル・円が大きく下落するという局面はひとまず回避できたのかという気はするが、かといって円が弱くなる理由はほとんど今のところないので、なかなか上値は伸びない気がする。低空飛行が続きそうな気配」と語った。

  ブルームバーグのデータによると、円は韓国ウォンを除く主要15通貨に対して前日終値比で上昇。前日は世界的に株価が上昇するなどリスク回避の動きが一服し、円は主要通貨全てに対して値を下げていた。また、前日は英国民投票の結果が判明した24日以降で初めてポンドの下落が一服したが、この日は再び売り優勢となっている。

  安倍晋三首相はこの日午前に開いた政府と日銀との会合で、英国のEU離脱への対応策で、あらゆる政策を総動員すると述べた。麻生太郎財務相は会合後記者団に対し、安倍首相から引き続き金融市場の動きを注視し、必要な対応を機動的に取るよう指示があったと説明。日銀の黒田東彦総裁は、邦銀の外貨調達について、問題は全く生じていないと述べた。

  みずほ証券投資情報部の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、政府・日銀会合について「特に新しい何かが出てきた感じではない」とし、「やはりEU首脳会合が重要。ここでスケジュール感など英EU離脱の過程が計れるものが出てくると、もう少し市場が落ち着きを取り戻せるきっかけになる」と話した。
  
  ドイツのメルケル首相は28日、EU首脳会議の初日の討議終了後に記者団に対し、英国民投票の結果を撤回することは不可能で、「今は希望的観測を抱く場合ではなく、現実を理解すべき時だ」と述べた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は非公開の会議で、英国民投票の結果としてユーロ圏の経済成長率は今後3年間にわたり、最大0.5ポイント落ちる可能性があると述べた。

  一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事は28日、英国のEU離脱が決まった国民投票の後、世界のリスクは一段と下振れに移行したとの見解を示し、その結果、新たな不確実性が生じ、金融政策の見直しが必要となる可能性があると指摘した。

  ポンド・円相場は前日に1ポンド=134円台から137円台まで上昇したが、この日の東京市場では一時135円台後半まで反落。ユーロ・円相場も1ユーロ=113円台後半から113円ちょうど前後まで値を戻した。

  三井住友銀行市場営業部NYトレーディンググループの柳谷政人グループ長(ニューヨーク在勤)は、ポンドやユーロについて、「下げが収束したかどうかの話になると、離脱は売る材料であることに間違いない」と指摘。「英国が離脱したことで、これに続く次の国を探し始めている。今はそういう動きはないが、欧州危機のようなものがシナリオとして出てくることもあり得る。そうなると、ユーロを売ることになるのだろうから、リスクはまだ依然として下方向にあると思う」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE