日立建機社長:円高と欧州景気がリスク要因に-英国のEU離脱で

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  • 為替予約などのリスクヘッジ臨機応変に、欧景気悪化の波及を懸念
  • 中国の建機市場しばらく復活せず、次期中計は需要の伸び見込まず

Yuichi Tsujimoto.

Photographer: Akio Kon/ Bloomberg
Photographer: Akio Kon/ Bloomberg

日立建機の辻本雄一社長は28日、ブルームバーグとのインタビューで英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたことに伴う影響について「1番のインパクトは為替」との懸念を示した。また「欧州の景気動向もリスク要因」として「今やグローバルにつながっており欧州景気が悪くなることでその他の地域も厳しくなる」との見方を示した。

  辻本社長は「急激に円高に振れている。円がもう少し安い方が経営的にはいい」と指摘。「為替は自分たちではどうすることもできないが、為替予約などのリスクヘッジは今後も状況を見ながら臨機応変に行う」と述べた。同社の業績への影響は、ドルに対して1円の円高で営業利益が年9億円、ユーロに対しては同5億円の減益要因となる。今期(2017年3月期)の業績予想の前提条件として1ドル=110円、1ユーロ=120円としている。

  世界的に建機需要が落ち込む中、ドイツや英国など欧州での需要は前期比で横ばいとみていたが「英国の離脱によって欧州の景気が冷え込まないか動向を見極めなければならない」と指摘。欧州への影響が他地域にどう波及するかが懸念材料との見解を示した。日立建機は英国に製造拠点は置いていないが販売子会社を持つ。前期(16年3月期)の売上高は約200億円。ロンドンを中心に英国内では建設需要が堅調で、油圧ショベル2000台超を販売した。

遠い中国市場の復活

  かつて最大の建機需要を誇った中国市場の先行きについては「しばらく復活はない」との見方を示した。中国の油圧ショベル需要については10年のピークから約6分に1にまで縮小したと見ている。今期は前期比6%減の1万8000台にまで需要は縮小すると予測。「いずれは4万ー5万台に戻ると思うが、あれだけの国で日本よりも需要が低い現状は異常だ」と述べた。

  このほど中国を訪問し、建機業界の関係者との会談で同国内では今後10年は稼働できる油圧ショベルが130万台程度あるとの話を聞いたという。辻本社長が想定していた60万台の倍以上の数字。6ー10トンクラスの小型機の需要は堅調だが、20ー40トンの大型機の減少幅が大きく、鉄道や道路工事、大規模な都市開発、石炭鉱山などは軒並み落ち込んでいると語った。

  日立建機では、今期の油圧ショベルの世界需要が前期比3%減の14万9000台とリーマンショック時の09年度(15万1000台)を下回る水準にまで落ち込むと予測。来期(18年3月期)から3年間の新中期経営計画については「需要は伸びないという前提で作成する」との考えを示した。強みの油圧ショベルに加えて土や石をすくい上げてダンプトラックに積み込むホイールローダー、鉱山向け機械の強化を図り、世界シェアを伸ばす考え。

  昨年10月に川崎重工業からホイールローダーメーカーのKCMを買収。KCMと日立建機を合わせた国内シェアは3割超のトップとなった。世界シェアでは10%に届かないというが、次期中計において15%程度への引き上げを目指す。

  鉱山向け機械では日立製作所と共同で開発し、08年に参入した後発のダンプトラックでの世界シェアを現在の10%から20%超にまで高める考え。特に弱い米州全体での販売増を狙う。それぞれの機械の走行距離や使用方法などをきめ細かく分析した上での交換部品の提供といった部品サービスにも力を入れる考えも示した。

(第5段落に辻本氏のコメントを追加します.)
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