中長期債利回りが過去最低更新、好需給や緩和観測で買い優勢に転じる

更新日時
  • 5年債利回りマイナス0.32%、10年債利回りマイナス0.24%まで低下
  • 先物は153円01銭と史上最高値を更新

債券相場は上昇。10年物など中長期ゾーンの新発国債利回りが過去最低水準を更新した。日本銀行の国債買い入れオペで需給の良さが示されたことに加えて、根強い追加緩和観測を背景に買いが優勢となった。

  29日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.22%で始まり、いったんマイナス0.215%に上昇。その後は水準を切り下げ、マイナス0.24%と前日に続いて過去最低を更新した。新発5年物の128回債利回りはマイナス0.32%まで低下し、過去最低を記録。新発2年物の366回債利回りはマイナス0.30%と前日に付けた最低水準に並んだ。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「短い年限がしっかりしている。日銀の長期国債買い入れオペで3年から5年のゾーンが強めの結果だった。また、7月の臨時会合か月末の通常会合で日銀が追加緩和を避けられないとの思惑もある」と述べた。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は前日比4銭高の152円93銭で始まり、一時は152円74銭まで下落した。午後に入ると買いが優勢となり、153円01銭と過去最高値を更新し、結局は9銭高の152円98銭で引けた。

  超長期債は軟調。新発20年物の157回債利回りは1bp高い0.05%で始まり、一時0.065%まで上昇。その後は0.05%に戻した。新発30年物の51回債利回りは3.5bp高い0.085%を付けている。新発40年物の9回債利回りは3.5bp高い0.10%と2営業日ぶりに0.1%台に上昇した。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「これまでのフラットニングの反動の動きとなっている」と指摘。ただ、「基本的には何も変わっておらず、今日のスティープ化が続くとは思えない。7-9月期に入ってまた超長期債を買わざるを得ないのではないか」と話した。

  前日は国債利回りが軒並み過去最低水準を更新した。新発2年物利回りがマイナス0.30%、新発10年物がマイナス0.23%、新発20年物が0.04%、新発30年物が0.05%、新発40年物が0.065%と、全年限で0.1%を下回った。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「ここもとプラス利回りの超長期ゾーンがすごい勢いで買われていた影響もある。今日はリスクオフの流れもいったん様子見だ。英国のEU離脱による不透明感だけで日本株をさらに売り込むのも難しい水準まできているのではないか」と指摘。「超長期ゾーンがゼロ%を付けてしまうと、いくら追加緩和期待があると言っても、20年や30年の発行で消化不安が出てくる」と話していた。

日銀買い入れオペ

  日銀が実施した今月10回目の長期国債買い入れオペの結果によると、残存期間「1年超3年以下」と「10年超25年以下」の応札倍率が前回から小幅低下した。一方、「3年超5年以下」と「25年超」がやや上昇した。

  政府・日銀はこの日午前8時40分から官邸で会合を開催した。安倍晋三首相は、英国の欧州連合(EU)離脱への対応について、「あらゆる政策を総動員する。主要7カ国(G7)で市場の安定に全力との意思を発信し続けることが重要」と述べた。黒田東彦日銀総裁は、会合後に記者団に対し、邦銀の外貨調達に関しては「問題全く生じていない」と指摘。「昨日のドル資金供給オペについて説明した。必要ならいくらでも資金供給できる。現時点で邦銀は十分なドルを持っている」と話した。

  マスミューチュアル生命の嶋村氏は、政府・日銀の会合について、「金利水準からは行き過ぎだが、日銀が国債買い入れをやめるわけにもいかないだろう。政府も財政面から、国債買い入れをやめないでほしいと思っているのではないか」と話した。

  28日の米国債相場は3営業日ぶりに下落。米10年債利回りは前日比3bp上昇の1.47%程度で引けた。英国のEU離脱を背景に利回りが大幅に低下したことへの反動に加えて、米株式相場が反発したことが売り材料となった。この日の東京株式相場は上昇。日経平均株価は前日比1.6%高の1万5566円83銭で終えた。一時は300円を超す上昇となる場面もあった。

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