出光株は反落、昭和シェル株は続落-出光創業家の統合反対で

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  • 創業家との十分な意思疎通なく出光の経営への信認低下:アナリスト
  • 出光が取得する昭シェル株、市場で売却なら損失リスク:アナリスト

出光興産の創業家が2017年4月を目指す昭和シェル石油との経営統合に反対の意向を表明したのを受け、両社の株価が下落している。合併決議は株主総会で3分の2以上の賛成を必要としており、創業家側が反対に回ることで統合が難航する可能性が出てきたためだ。

  出光の株価は29日、一時前日比7.6%安の2127円。15年8月5日以来10カ月ぶりの下落率となった。昭和シェルの株価は一時同6.6%安の891円。統合に反対の報道が流れた28日の昭和シェル株終値は前日比10%安と、11年3月15日以来の下落率となった。

  SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは28日付のリポートで、出光株には「ネガティブな印象」と指摘する。筆頭株主と十分なコミュニケーションが図れていなかったことが明らかとなり、「経営への信認が低下する」としている。

  また、出光は英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルが保有する33.3%の昭和シェル株を1株当たり1350円、総額1691億円で16年9月中に取得することで合意している。塩田氏はこの昭和シェル株について統合が破談になれば「何も活用できないだけでなく、市場で売却した場合に売却損が出る可能性がある」とみている。

  一方、昭和シェル株については破談になると株価に上乗せされた経営統合プレミアムが損なわれることや、取得した株式を出光が市場で売却するリスクがあるとした上で、ポジティブなシナリオもあると指摘。3分の2以上の賛成を必要とする特別決議を回避するため、統合の方式を合併から公開買い付け(TOB)で追加購入して子会社化するシナリオに変更された場合には「需給の面からポジティブな影響を受ける」との見解を示した。

企業体質の違い

  創業家側が代理人の第一中央法律事務所の弁護士を通じて配布した資料によると、持ち株比率33.92%を握る創業家は28日の出光の株主総会で、統合への反対の意向を表明するためこの計画を推進する現取締役10人の再任議案に反対票を投じた。この議案は賛成が過半数を上回り可決された。

  この資料によると、統合に反対する理由として、全社一丸の社風とともに労働組合を持たない出光と労組が強い昭和シェルが異質の企業体質を持つ企業である点を指摘。労組の問題は「容易に扱える問題ではない」とし、合併により経営の効率性を失うとの考えを示した。

  さらに、中東におけるサウジアラビアとイランの対立が深刻化する中で日章丸事件を契機にイランと親密な関係を持続している出光がサウジアラムコ系列の企業になることは、「経営戦略として適切なものとは考えられない」とした。

  創業家側の反対表明を受け、出光は今回の経営統合計画については創業家との間で継続的にコミュニケーションを行ってきたとし、「このような形で経営統合反対の意見表明があったことは、誠に残念」と文書で発表。その上で、昭和シェルとの経営統合が「最善の策と確信していることには変わりない」とし、今後も協議を継続する方針を示した。昭和シェルも、統合に関する話し合いは今後も粛々と進めていきたいとしている。

4月の統合会社発足を予定

  出光と昭和シェルは、公正取引委員会による審査を経て合併契約書を締結し、臨時株主総会で株主からの承認を獲得したうえで17年4月1日の統合会社発足を予定。合併承認決議は3分の2を超える賛成を必要とする特別決議のため、創業家側が反対すると経営統合ができなくなる。出光は今後、「大株主を始めとする株主の皆様にご理解頂ける統合会社の設立に向け取り組んで参りたい」としている。

  出光の小林総一広報CSR室長は28日に都内で会見し、同社が認識する創業家の持ち株比率は3分の1を下回る21.2%だと話した。創業家側が持ち分として含めた出光文化福祉財団(持ち株比率7.75%)と出光美術館(同5%)は公益財団法人。「公益性の高いものだから、1人の判断で決められるものではない」とし、会社側としては議決権を行使しないものと考えているという。

  創業家が発表した持ち株数と比率は以下の通り

所有株数(万株)持ち株比率
日章興産(創業家の資産管理会社)2712.016.95%
出光文化福祉財団1239.27.75%
出光美術館800.05.00%
出光正和氏(創業者の孫)241.61.51%
出光正道氏(創業者の孫)241.61.51%
出光昭介氏(創業者の子)192.81.21%
5427.233.92%
(29日の株式市場の反応を追加して記事を更新します.)
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