日銀のドル供給オペ、金融機関の応札膨らむ-英EU離脱の影響じわり

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  • 応札額14億7500万ドル、2014年12月以来の高水準
  • 英EU離脱で調達コストが上昇していることを反映-セントラル短資

英国の欧州連合(EU)離脱決定後初の実施となった日本銀行の定例ドル供給オペは、金融機関の応札額が1年半ぶりの高水準を記録した。世界的な金融市場の混乱によるドル需要の強まりが同オペにも反映された形だ。

  日銀がこの日実施したドル供給オペには14億7500万ドルの応札があり、全額落札された。前回の200万ドルを大幅に上回り、2014年12月(15億2800万ドル)以来の高水準となった。期間は6月30日から7月8日までの8日間で、貸付利率は0.87%。通常の状況では貸付利率が比較的に高いため、金融機関のドル調達は市場が優先され、応札額はオペを利用する手順の確認として多くても数百万ドル程度にとどまる。

  セントラル短資の佐藤健司係長は、「やはりちょっと多いという印象。Brexit(英EU離脱)関連で調達コストが上昇していることを素直に反映した結果だ。期末越えで予防的な需要も若干あったかもしれない」と指摘。「この応札量は、市場で調達できないだろうということでオペにきた金融機関がたくさんいたということだが、何かマーケットで全く調達できないというような印象はない」と話した。

黒田日銀総裁

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  ドル供給オペは、参加する金融機関が日銀に差し入れた適格担保の範囲内で無制限にドルを調達することが可能で、四半期末をまたぐ際には需要が膨らむ傾向があるが、昨年末や今年3月末の応札額は7000万-1億ドル程度だった。

  東短リサーチの寺田寿明研究員は、「事前に手当てを進めていた金融機関もあるとみられるが、需要が高まる四半期末の要因に加えて、英EU離脱による調達コスト上昇の影響や予備的に確保する需要が上乗せされる可能性がある」との見方を示した。

  前週末の英EU離脱ショックの影響が注目された27日の市場では、政府・日銀が緊急会合を開催。安倍晋三首相は、市場の流動性確保に努めるよう日銀に指示した。セントラル短資の佐藤氏は、「英EU離脱の影響はあっても金融危機的な状況ではないため、これまで通りの運営で対応可能」との見方を示し、「市場で調達できなければ利用してくださいというのが日銀のスタンスなので、こういう状況なら参加者も利用しやすい」とみていた。

ドル調達コスト

  ドルと円の資金を交換し、取引金利を決めるベーシススワップ相場では、ドルの調達に求められる上乗せ金利(ベーシススプレッド)が拡大している。ブルームバーグのデータによると、英国がEU離脱を決めた前週末の3カ月物は68ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2011年11月以来の高水準。東短リサーチの寺田氏は、「邦銀は外貨建て資産が膨らんでおり、ドルの調達は重要性が増している。ベーシススプレッドを他の通貨と比較しても、円によるドル調達の場合は突出している」と指摘する。

  SMBC日興証券の野地慎為替・外債ストラテジストは、「日銀は今回、ドル資金供給オペを通じて邦銀のラストリゾートとなる格好だが、ドル調達コスト上昇が邦銀の収益に多大なる影響を及ぼす構図を作ったのもまた日銀ということだ」と指摘している。  

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