買うべきか買わざるべきか、割安銘柄狙う欧州株ハンターのジレンマ

  • ユーロ・ストックス50は世界の株式との比較で4年ぶりの割安水準
  • 変動の激しい状況続く見通しで当面は静観を勧める-UBSウェルス

欧州の大手資産運用会社の間では、過去最大の下げで極めて割安な水準にある域内株式に経験則に従い思い切って近づくかどうかで意見が割れている。

  英国の欧州連合(EU)離脱が欧州政治経済の安定を脅かすとの懸念を背景に、ユーロ・ストックス50指数は24日に銀行株主導で8.6%下落し、ボラティリティは跳ね上がった。これを受けユーロ・ストックス50のバリュエーションは、世界の株式相場の指標に対し約4年ぶりの低水準となった。

  資産運用会社の手元現金は約15年ぶりの高水準にあるものの、24日の相場展開を考えれば、こうした資金が市場に大量流入すると強気派はもはや期待できないと言ってもいいだろう。過去に相場が同じように急落した際は、勇敢な投資家が市場に参加する好機となったが、UBSグループやロンバード・オディエ、アクサ、チューリッヒ・インシュアランス・グループのウェルス部門は今は安値拾いのタイミングではないと指摘している。

  UBSウェルスマネジメントで英国投資副責任者を務めるキャロライン・シモンズ氏(ロンドン在勤)は「当面は静観することを私は勧める」と述べ、「実に変動の激しい状況が続くだろう。多くのリスクが一斉に浮上しかねない。ユーロ危機やリーマンショック、原油急落の際は、金融市場に広範囲な影響が及んだものの、今回とは異なり、長期にわたる政治的連鎖反応を生じさせる可能性は大きくなかった」と分析した。

  バリュエーションは金融危機後の欧州株の強気材料の一部で、特に配当の観点では材料視されており、24日の急落でその論拠は強まった。ユーロ・ストックス50の配当利回りは米S&P500種株価指数の2倍近くで、24日の株価急落によって3年ぶり高水準の4.4%に達した。

  銀行株はここ数年の水準に比べて割安感があり、FTSE350指数採用の銀行株の株価純資産倍率(PBR)は0.6倍と、金融危機後の2009年以降でほぼ最低の水準。ユーロ・ストックス銀行株指数のPBRは0.5倍で、12年以来の低水準を付けた。

  ロンバード・オディエのビル・パパダキス氏は、英国のEU離脱への各国首脳の対応を見極めた上で相場の底入れを判断したいと述べ、「共通の政策対応が講じられれば、相場下落に歯止めがかかる可能性はある」と付け加えた。

  当局は迅速に対応に乗り出している。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は24日、金融システムに資金を大量供給する用意があると表明し、欧州中央銀行(ECB)は金融機関に必要な資金供給を行うと発表。スイス国立銀行(中銀)は外為市場に介入した。メルケル独首相は27日、オランド仏大統領とレンツィ伊首相、トゥスクEU大統領をベルリンに招いて会談した。

  割安銘柄を物色するフォントベル・アセット・マネジメントは、こうした取り組みが相場の一段安を抑制すると予想。ドイツ銀行の資産運用部門のシュテファン・クロイツカンプ最高投資責任者は、相場急落は買いの好機だと話す。フィデリティ・インターナショナルのパラス・アナンド氏は、英国のEU離脱決定は「壊滅的」ではないと指摘している。

原題:To Buy or Not to Buy Europe Stocks Is Value Hunters’ Dilemma (1)(抜粋)

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