ロンドンの欧州金融拠点の地位、ユーロ圏が揺さぶりへ-決済に狙い

  • ECB、ユーロ建て取引の決済監督を長きにわたり切望
  • 2015年の裁判所判決はロンドン支持も、決済業務移転に絶好の機会

2015年、ルクセンブルクの裁判所がユーロ建て取引の英国での決済を認めたことは、オズボーン英財務相には有利、欧州中央銀行(ECB)には不利な判断で、ロンドンの金融業界にとって歴史的な勝利だった。

  この勝利でロンドンの金融街シティーは、493兆ドル(約5京210兆円)に上るデリバティブ市場に金融サービスを提供できている。だが欧州連合(EU)離脱という決定がこれを危うくし、シティーの主要事業の一つを動揺させている。

  ECB政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は25日、ラジオ局フランス・アンテルのインタビューで、英国がEUの規則を受け入れるノルウェー型の離脱方法を採らない場合は「決済機関をロンドンに置いておくことはできない」と発言した。

  ユーロ圏が以前から域内にユーロ建て取引の主要決済拠点を置きたがっているのは公然の事実だ。ルクセンブルク裁判所の判断は当時、欧州の金融ハブとしてのロンドンの地位を強化するとして歓迎されたが、英国がEU非加盟国だったならこの判決はあり得なかっただろうと認める英議員もいる。

  英国出身の欧州議会元議員でロンドン証券取引所グループ(LSE)非業務執行取締役を務めるシャロン・ボウルズ氏は「極めて長く続いている争いだ」と指摘。ユーロ圏が決済業務を取り戻した場合、ロンドンは担保管理に関連した業務や決済会社の近くにいたいトレーダーらを失う恐れがあるという。EU離脱はすでにロンドンの大手銀行で数千人の職を脅かしている。

  ボウルズ氏は「ユーロ圏に移る恐れのある規模は全体で大きい」と述べた。

  デリバティブ市場全体のうち、金利スワップの売買が384兆ドルと最大を占める。国際決済銀行の2013年のデータによると、ユーロ建てのこの種のスワップ取引は約7割が英国で行われる。フランスは11%、ドイツは約7%、米国は2%に過ぎず、英国の存在感が際立つ。

  英国のEU離脱支持を受けて辞任した同国出身の欧州委員、ジョナサン・ヒル氏(金融安定・金融サービス担当)は、決済会社はすでに他国への移転に目を向けていると警告していた。

原題:Europe Tests London’s Financial Hub Status by Targeting Clearing(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE