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英EU離脱、短・中・長期の3つの期間で米金融政策に影響

  • 主要中銀は流動性供給の用意表明、米では中期的に利上げ先送りも
  • 長期的には米実体経済に衝撃も、ドル高や金融情勢引き締まりなら

英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票結果が、米金融当局の政策に影響を及ぼすのはほぼ確実だ。その余波の深刻さは短期、中期、長期の3つの期間で浮き彫りとなるだろう。

  結果が判明した24日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、他の中央銀行と共に必要に応じて市場に流動性を供給する用意を表明した。中期的には、英離脱を受けた市場の混乱で米利上げが一段と先送りされる可能性がある。長期的には、二次的な影響が米経済統計にも反映されることになりそうだ。

直接的な影響

  FRBは24日の声明で、「世界的な資金調達市場での圧力に対応するため、FRBは既に各中央銀行との間で確立されたスワップ取り決めを通じて、必要に応じて ドル流動性を供給する用意がある」と説明。これに先立ち、イングランド銀行(英中銀)や欧州中央銀行(ECB)も同様の声明を発表していた。

  また、主要7カ国(G7)の財務相・中銀総裁は24日の共同声明で、「為替レートの過度の変動や無秩序な動き」を阻止するため、協調して行動することを約束した。

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロバート・ペルリ氏は、主要中銀が流動性供給の用意を表明し、落ち着くよう訴えたことで、「近い将来の正常回帰を想定するのは難しいことではない」と語った。

当面は利上げ先送り

  英EU離脱決定の余波で、米金融当局の利上げの計画は向こう数カ月、先送りされる可能性があり、特にドル高が進行し、不確実性が高まった場合はその可能性は強まるだろう。

  英国民投票の時点で既に、米金融当局は近く追加利上げに踏み切るかどうか、以前よりも確信を持てずにいる様相を呈していた。そして今、市場が混乱に陥り、安全資産を求める動きでドル高が進み、金融情勢の引き締まりが続けば、米利上げは一層困難になる。

  フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、利上げ確率が後退するとともに、23日にゼロとされていた年内利下げの確率だが、ニューヨーク時間24日午後1時20分(日本時間25日午前2時20分)時点で11月利下げの確率が14%に達した。ウォール街のエコノミストの間では、利上げ時期が一段とずれ込むとして、予想を見直す動きが広がった。

長期の経済的影響

  英EU離脱の米経済への長期的インパクトは、金融市場に対する影響がどの程度続くかに大きく左右される。ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏はFRBの主要な経済モデルを使い、FF金利の誘導目標が据え置かれるとの想定の下で、さまざまなシナリオでの経済成長への影響を次のように試算した。

  • ドルが貿易加重ベースで10%上昇した場合、米国の国内総生産(GDP)伸び率は向こう1年間に0.4ポイント押し下げられ、向こう3年では1.5ポイントの押し下げとなる
  • 「BBB」格付けの社債利回りが1ポイント上昇すれば、米GDP伸び率は向こう1年間に0.2ポイント、向こう3年間では0.6ポイント、それぞれ押し下げられる
  • 米S&P500種株価指数が20%下落したままなら、米GDP伸び率は向こう1年間に0.2ポイント、今後3年間では0.8ポイントずつ押し下げられる
  • 反対に、米10年債利回りが1ポイント低下すれば、米GDP伸び率は向こう1年間に0.4ポイント押し上げられる

  ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、ジョゼフ・ラボーニャ氏は、金融情勢の引き締まりがあれば、「不確実性の高まりは短期の支出や雇用、投資の決定にマイナスとなる」と指摘。「状況は流動的で海外の政策対応がどうなるか不確かなため、予測は難しい」と話した。

原題:Yellen’s Fed to Play Long Game Dealing With Brexit Fallout (2)(抜粋)

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