英国民投票での欧州連合(EU)離脱決定で世界の金融市場は大荒れの展開となったが、その数時間後にはこれを予見できた一握りの投資家の大勝利が明らかになった。

  事情に詳しい関係者1人によると、英国のEU離脱を支持していたヘッジファンド運用者のクリスピン・オデイ氏は、24日に自身の旗艦ファンドで15%強のリターンを得た。デービッド・ハーディング氏のウィントン・キャピタル・マネジメントなど、コンピューターを駆使してトレンドを追跡する複数のヘッジファンドも利益を得た。

  英ポンドが1985年以来の安値に急落し、世界的に株価が急落、債券と金相場が上昇する中で利益を得たのはこうした少数の投資家だ。1992年に英国がポンド相場を切り下げると見込んで巨額の利益を得た資産家ジョージ・ソロス氏は、今回の国民投票数日前に英国民に対し、EU離脱の真のコストを過小評価していると警告。唯一の勝ち組はこうした決定につけ込もうとする投機的な勢力だろうと述べていた。

デービッド・ハーディング氏
デービッド・ハーディング氏
Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

  オデイ氏は投票日前に行った私的調査で、金融市場の予想よりも大接戦になると結論付けていた。別ヘッジファンド運用者ポール・チューダー・ジョーンズ氏率いるチューダー・インベストメントは6月15日に投資家宛て書簡で、英国のEU離脱確率はブックメーカーのオッズが示唆するよりも高いと指摘し、離脱決定が出た場合の影響に備える必要があると述べていた。

  同関係者によると、オデイ氏率いるオデイ・アセット・マネジメントは昨年以来のショートポジションで利益を得たという。旗艦ファンド「オデイ・ユーロピアン」は今年初めから5カ月半に25%値下がりしていた。チューダーが英国のEU離脱決定に賭けた運用を行っていたかどうかは不明。

  オデイ氏(57)に運用状況に関して取材を試みたが、現時点で返答はない。チューダーの広報担当、パトリック・クリフォード氏はコメントを控えた。ソロス氏率いるソロス・ファンド・マネジメントの広報担当、マイケル・バチョン氏は同社の運用に関してコメントを避けた。

  相場の方向性に賭ける投資戦略を除いて、コンピューターを駆使してトレンドを追うヘッジファンドも好調だった。当初のリターン推計を知る複数の関係者によれば、アスペクト・キャピタルの旗艦ファンド「ダイバーシファイド・ファンド」は24日午後の中ごろ時点で約4%、キャンタブ・キャピタル・パートナーズの「クオンティテーティブ・ファンド」は3%強、「ウィントン・フューチャーズ・ファンド」は約2%のリターンをそれぞれ確保した。

  キャンタブとウィントン、アスペクトの広報担当はいずれもコメントを控えた。

  ヘッジファンドの運用成績を追跡しているGAMホールディングのマネーマネジャー、アンソニー・ローラー氏によれば、こうしたファンドは米国債と欧州の国債、米ドルが値上がりする一方で、エネルギーセクターやポンドが売り込まれると想定した賭けから利益を得たという。
  
原題:Brexit Winners Emerge in Hedge-Fund Community Amid Market Chaos(抜粋)

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