円全面高、英離脱ショック続き対ドル101円台-米利上げ観測後退も

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  • 日本株反発受け102円48銭まで上昇後、101円48銭まで下げる場面も
  • 年末に向けて100円割れが定着していく方向では-三菱東京UFJ銀

27日の東京外国為替市場では円が全面高。英国の欧州連合(EU)離脱決定で世界景気の先行き不安が強まっていることを背景に、リスク回避に伴う円買い優勢の流れが続いた。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要通貨全てに対して前週末終値比から上昇。ドル・円相場は早朝に1ドル=101円台半ばまで円高に振れた後、日本株の反発を受けて102円48銭まで持ち直したが、午前10時すぎから再び円買いが優勢となり、午後には一時101円48銭まで値を切り下げた。同3時40分現在は101円90銭前後。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、先週末の円急騰で円の買い持ちもそれなりに積み上がっているとみられ、一段の円買いには時間調整が必要だが、もともとインフレ期待の後退で円の実質金利が上がっている上に経常黒字と「時折リスクの円買い」が重なり、円は高くなっていく可能性が高いと指摘。「米国は恐らく年内の利上げは相当難しくなったと思うので、利上げ期待によるドル高も剥落してくる」とし、ドル・円は「年末に向けて100円割れが定着していく方向ではないか」と語った。  

  ポンド・円は1ポンド=138円台から一時135円台後半まで値を切り下げ、同時刻現在は136円99銭前後。先週末には一時25円近くポンド安・円高が進み、2012年12月以来となる133円台に突入する場面があった。  

  政府・日銀は英国のEU離脱決定を受けて、金融市場安定化のための緊急会合を27日午前8時から官邸で開催した。安倍晋三首相は金融市場に不透明感やリスク懸念が残っているとして、市場安定化と実体経済への影響が出ないよう万全を期すよう指示した。

  麻生太郎財務相は緊急会合後記者団に対し、足元の市場動向を会合で説明したとコメント。海外市場が落ち着いているとの質問に対しては「対応が成功した」との認識を示した。中曽宏日本銀行副総裁は終了後記者団に対し、円貨・外貨の流動性について各国中央銀行と連携を密にしていると語った。日銀臨時会合を開催するかどうかの質問にはノーコメントとした。

  先週末の24日は、英国民投票でのEU離脱派勝利を受けて世界的に株価が急落。ポンドは対ドルで31年ぶり安値を付け、リスク回避の動きから円が急騰した。ドル・円は106円台から一時2013年11月以来の水準となる99円02銭まで急落した。  

  先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は日本時間の同日夜に電話会談を行い、市場の不測の混乱に備え各国と緊密に協議し適切に協力する決意を表明した共同声明を発表。25日付の日本経済新聞朝刊は、英国のEU離脱決定に伴い、政府・日銀は今後も急激な円独歩高が進んだ場合には日本単独での円売り介入も視野に対応する構えだと報じた。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、「政策当局の対策に対する警戒感はあるものの、G7の動きについても具体的に何かがあったわけでもなく、いろいろ起きている中で、資金繰りを安定的にするべきという点以外はどこに何が必要かを見極める段階にあるように見える」と指摘。向こう1、2週間はまだ市場環境が不安定で、「先週末のようなリスクオフで急激に株安や円高が進む場面もあるだろう」と語った。

  浜田宏一内閣官房参与は、EU離脱を決めた英国民投票後に円高が急激に進んだことを受け、日本の通貨当局には為替介入を正当化する「根拠が少し強まった」との見方を示した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が27日に電子版で報じた。雇用市場に悪化の兆しが見られない限り、日銀は追加緩和を見送るべきだとも述べた。

  英国のEU離脱決定を受け、市場では米国の利上げ観測が大幅に後退している。米金利先物市場動向に基づきブルームバーグが算出した7月と9月の利上げの確率はゼロとなっている。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、ドル・円に関しては金利面でもドルが買いづらくなっているとし、「日銀の緊急緩和の話をする人もいるが、さすがに選挙中にやるとあからさまという気もしなくはない。緩和も難しく、介入警戒も100円を割れないとすれば、ドル・円は100円割れぐらいから103円ぐらいのレンジでもみ合いとなり、何か嫌な材料があると下値を試す感じではないか」と指摘。この日の人民元安も今後の日本経済に悪影響というイメージが先行し、円買い材料視された可能性があると話した。

  中国人民銀行(中央銀行)は27日、ドル上昇を受けて人民元の中心レートを昨年8月の実質切り下げ後以来の大きな幅で引き下げた。上海市場で取引される人民元は一時10年12月以来の水準まで下落。英国が国民投票でEU離脱を選択したことで世界の金融市場が混乱する中、ドル・スポット指数は24日に1.8%高と11年以来の大幅上昇となった。

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