【今週の債券】長期金利一段低下か、リスクオフでマイナス0.3%観測も

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.30%~マイナス0.15%
  • 日銀短観が弱くなり、7月追加緩和のトリガーへ-パインブリッジ

今週の債券市場で長期金利は一段の低下が予想されている。英国の欧州連合(EU)からの離脱を受けて、リスク回避に伴う買いが続くとの見方が背景にある。各国の金融緩和など協調政策への期待が強いことも金利に低下圧力が掛かりやすい。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.30%~マイナス0.15%。前週は一時マイナス0.215%と過去最低水準を更新した。

  英国で23日実施の国民投票の結果、欧州連合(EU)からの離脱が決まった。これを受けて、日米欧の主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は24日に緊急の共同声明を発表した。「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済や金融の安定に悪影響を与え得る」とした上で「流動性供給のための手段を用いる用意がある」とした。麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁も「為替市場を含む金融市場の安定に万全を期す」との共同談話を発表した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「英国がEU離脱を前提としたプロセスに入ることになり、各金融市場ではリスクオフと同時に、各国政策当局の金融・財政のみならず、為替を含む政策変更を読みに行く相場になろう。国債相場では反射的に、リスクオフの流れに乗ってまずブルフラット化が進むだろう」と言う。ただ、「その後、政策対応への期待や警戒が強まるにつれブルスティープ化、ないしはツイストスティープ化の流れになる」と予想する。

  日銀は7月28、29日に次回の金融政策決定会合を開く予定。ただ、英EU離脱による金融市場の混乱が続くと、日銀が臨時会合を開いて追加金融緩和に踏み切るとの観測が出ている。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「週明け以降の欧米市場で今回の結果をあらためて織り込んだ後、日本株やドル・円がすぐに元の水準を目指して戻っていくとは到底考えられない」と指摘。「時間の経過とともに政策対応の必要性、すなわち『為替介入』と『金融緩和』がより強く意識されるようになってくるものと予想される。7月末の金融政策決定会合まで手をこまねいてみているとも言い難い」と言う。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「週末の欧米市場を確認した上で、主要中央銀行の協調姿勢が固まってくるのではないか。米国の利上げは年内1回も難しくなる可能性がある。まずは市場を落ち着かせることが第一だ。欧州を中心に世界景気への懸念は広がりそうだ。リーマンショック並の衝撃だ。7、8年サイクルで起こると言われているが、立ち直るには時間がかかりそうだ」と話した。

2年債入札

  財務省は28日に2年物国債の価格競争入札を実施する。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。発行額は前回と同額の2兆3000億円程度となる。

  日銀は7月1日に企業短期経済観測調査(短観、6月調査)を公表する。ブルームバーグの調査によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は製造業でプラス4と前月から2ポイント悪化する見通し。3カ月後の先行きについてはプラス3を見込んでいる。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「日銀短観が弱い結果となり、7月の日銀追加緩和のトリガーになるとみられている。今回の英EU離脱も加わり、より日銀の追加緩和を意識した相場になっていきそうだ」と話した。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しのコメントは以下の通り。

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◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物9月物=152円30銭-153円50銭
10年物国債利回り=マイナス0.30%~マイナス0.18%
  「各国の協調為替介入や金融政策があるのかに注目している。日銀短観は、景況感の悪化傾向の流れが続く見通し。消費者物価は、円高進行で基本的にデフレ圧力が強まる形。物価は下がる方向で、日銀目標から下がる方向という認識。このため、金融緩和期待が高まるだろう。2年債入札は無難な結果で終わる見込み。欧米市場で金利が低下すれば、海外勢の買いが入り、金利低下圧力が強まる見通し」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物9月物=152円45銭-153円35銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.27%~マイナス0.17%
  「英国のEU離脱という予想外のブラックスワン的なイベントが起こってしまった。今週も神経質な相場が続くとみられる。市場をみても皆、残留で金利が上昇したところを買うというスタンスだったとみられ、英EU離脱に対応できておらず、ポジションを作りきれていない。さらに英EU離脱により、米国の年内の利上げの可能性がなくなったとの見方がより強まることも債券市場をサポートしそうだ」

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物9月物=152円10銭-153円10銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.25%~マイナス0.15%
  「不安定な金融市場が続くことが見込まれ、それに伴って日銀の追加緩和も視野に入ってくるので、基本的に利回りの低下余地を探る展開。超長期ゾーンはゼロ%に向かって行く動きが加速するかどうか。イールドカーブはマイナスの年限が伸びてきているので、それがいつ20年に到達するのかという話。それは追加緩和によって加速する可能性がある。20年は0.2%台でしっかりした需要が確認されたばかりだ」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物9月物=152円25銭-153円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.23%~マイナス0.15%
  「リスクオフの雰囲気が残り、慎重ながらも長期金利は低位で推移するとみている。日銀短観は悪化というのが市場コンセンサス。調査期間中でもあるので、さすがにポジティブサプライズは見込みにくい。為替で1ドル=100円割れが定着すれば、日銀は臨時会合を開いて追加緩和を決める可能性が出てくるが、やや戻した状況で推移すのであれば、7月の通常の決定会合で追加緩和を決めることになりそうだ」

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