英国民投票の勝ち組と負け組:ジョンソン氏らは首相候補に浮上

23日の英国民投票では欧州連合(EU)離脱派が勝利した。この結果は企業活動や市場、政治を揺さぶりそうだが、勝ち組と負け組がいる。以下にその幾つかを挙げてみる。

勝ち組

ジョンソン前ロンドン市長、ゴーブ司法相
  2人はEU離脱キャンペーンの顔で、深い反EU感情を持つ英保守党議員にとって今や英雄であり、次期首相の最右翼とみられる。キングス・カレッジ・ロンドンのジョン・デービス氏は「保守党議員の3分の2はジョンソン氏かゴーブ氏を次期首相として支持するだろう」と予測。選挙戦を通じ、2人は効果的なコンビだったとも指摘した。

ルペン仏国民戦線党首、プーチン・ロシア大統領
  ルペン党首は英国のEU離脱を公然と支持し、EU解体を望んでいる。フランスは総選挙を1年後に控えており、ドイツやオランダ、ベルギー、イタリアのポピュリスト政党と共に、勢いづく可能性が高い。ロシアのプーチン大統領もほくそ笑んでいるかもしれない。欧州が分裂すればロシアに団結して反対する力が弱まるからだ。

法律事務所
  40年にわたり施行されたEU法の解消、EUやそれ以外の地域との新たな通商協議では、1つだけ確かなことがある。弁護士費用だ。国際条約に関わった経験を持つ弁護士は、ロンドンでは長いこと引く手あまたになるだろう。希少価値による上乗せ価格も期待できる。コンサルティング会社テネオ・インテリジェンスのボルフガンゴ・ピッコリ氏によると、英国は数十年にわたり独自に通商協議をまとめてこなかったため、「この分野の専門は存在しない」という。

金、その他安全資産
  投資家はできる限り安全な資産を探そうとする。金は2年ぶりの上昇、スイス・フランは同国中銀が昨年上限を撤廃して以来の上げ幅を記録した。金生産会社の株価も上昇が続くはずで、ランドゴールド・リソーシズ、フレスニーヨ、ポリメタル・インターナショナルがこれに属する。

ダブリン、アムステルダム、その他金融ハブ
  アイルランド、オランダ、北欧諸国はいずれもロンドンに取って代わろうと身構えている。EU離脱でロンドンを拠点とする銀行はEU域内へのサービス販売が難しくなるかもしれず、移民が制限されEU域内からの人材獲得が不透明になる恐れもある。国民投票前、アイルランド政府は大手銀行に同国への業務移転で売り込みを掛けた。米ナスダックも傘下に持つ北欧拠点のOMXをロンドンに代わる上場先として新規株式公開(IPO)を誘致しようとしている。

負け組

キャメロン首相、オズボーン財務相
  反EU色の強い保守党で結束力を高め、独立党の挑戦をかわそうと国民投票実施を選択したのはキャメロン首相だ。いまや3カ月以内の辞任を表明し、国民投票が実績として記憶されそうだ。首相の右腕で有力後継者とみられていたオズボーン財務相もダメージを受けた可能性がある。

大手銀行
  英国のEU離脱でどれだけの混乱を被りそうかは、株価を見てみればわかる。長期にわたる規制面の不透明性、新規株式公開や英企業絡みの買収・合併の低迷見通しで銀行の手数料収入は減る公算だ。すでに2015年のスイス・フラン急騰で損失を被ったサクソバンクやFXCMなどトレーディング会社は、今回のポンド急落で再び痛手を受けた可能性がある。さらに銀行員自身にも問題が降りかかる恐れがある。国際展開する銀行は、従業員や業務を欧州大陸に移転させることを考える必要があるからだ。

英国へのエクスポージャーの高い企業
  英国内市場に注力する企業の株式は売られるだろう。UBSグループのウエルスマネジメント部門アナリストによると、中型株からなる英FTSE250指数構成企業が最も大きな打撃を受けそうだ。より規模が大きいFTSE100指数構成企業は英国内の売上高比率が低い傾向にあるからだという。UBSのキャロライン・シモンズ氏は「FTSE250指数構成企業が英国内で売上高の50%を稼いでいるのに対し、FTSE100構成企業は25%にすぎない」と指摘した。

経済成長
  英イングランド銀行(中央銀行)によると、国民投票に至るまでの混乱で投資や雇用は減速し、1-3月の英国内総生産(GDP)伸び率は0.4%に減速した。複数のエコノミストは英中銀が7月14日の次回政策会合で景気支援策を恐らく拡大する必要があるとみている。

ロンドン
  シティグループ、モルガン・スタンレー、JPモルガン、ブラックロックなどがEU離脱でロンドンの従業員数を削減する恐れがあり、英政府の税収と不動産価格は低下しそうだ。バラット・デベロップメンツやカナリー・ワーフ・グループはこれまでEU離脱はプロジェクト開発を妨げ、新築住宅建設用の資金調達コストを押し上げると警告してきたが、信用状況の悪化がこれら不動産開発企業を圧迫するとみられる。

原題:Brexit’s Winners and Losers: Johnson Triumphs as Pound Plunges(抜粋)

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