「リーマンショック並み」の激震、英EU離脱で円高デフレ・景気懸念

  • ポンドは対ドルで一時、1985年以来の安値
  • 「立ち直るには時間がかかりそうだ」-岡三証券

世界中を驚かせた英国の欧州連合(EU)離脱派の勝利。金融市場は、記録的な英ポンド安、円高、株安、債券高で反応した。市場ではEU分裂の機運や世界経済の停滞リスクが高まりかねないと心配する声が広がっている。

  日本時間24日午前6時の投票締め切り直後、ユーガブが公表した調査結果は、残留52%・離脱48%。しかし、開票が進むと離脱派が逆転。英BBC放送は正午すぎに離脱派が勝利したとの予測を伝えた。

  早朝の外国為替市場では、ポンドが対ドルで年初来高値を更新したが、その6時間後には前日比10%超も下げ、1985年以来の安値を付けた。ポンド急落は、ユーロが99年の導入以降で最大の下落率を記録する売り圧力にもなった。円は対ドルで2013年11月以来の1ドル=99円台に突入し、日経平均株価は1300円を超える下落。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りはマイナス0.215%と過去最低を更新した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「離脱派勝利の背景には、相当根深い反EU感情があるようだ。日本人にはなかなか理解しがたいが」と語る。「世界的なリスクオフの流れが続く上、大陸欧州に『反EUドミノ』的な動きが出てくると、円への逃避を通じて日本に悪影響が及ぶ恐れがある。伝統的な円高デフレ・景気後退の懸念が高まるからだ」と言う。

  麻生太郎財務相は、英国民投票の大勢が決まった午後の記者会見で、「為替市場の動向を緊張感を持ってこれまで以上に注視し、必要な時にはしっかりと対応する」と円高進行をけん制。日本銀行の黒田東彦総裁も「流動性の供給に万全を期すことを通じ、金融市場の安定確保に努めていく」との声明を発表した。

  EU残留を訴えてきたキャメロン英首相は投票結果を受け、辞意を表明。イングランド銀行は安定確保のため、あらゆる必要な措置を取ると表明したが、FTSE100指数先物は約8%、欧州ストックス600指数は8%超も下落して開始している。スイス中銀は自国通貨の安定を保つため、為替市場に介入した。日本政府関係者によると、主要7カ国(G7)は今日中に電話会議を開き、市場動向について協議する。

  日米欧の主要中銀は民間銀行への流動性供給やポンドからの資本逃避への応戦に向けた準備を整えている。しかし、1992年にポンド売りを仕掛けてイングランド銀を打ち負かした著名投資家のジョージ・ソロス氏は21日付の英紙ガーディアンへの寄稿で、EU離脱が決まれば「ポンドの対ドル相場は少なくとも15%、場合によっては20%余り下落」し、今週末は「暗黒の金曜日」になると予想していた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは「今夜の欧米市場を確認した上で、主要中銀の協調姿勢が固まってくるのではないか。米利上げは年内1回も難しくなる可能性がある」と指摘。「まずは市場を落ち着かせることが第一だ。リーマンショック並みの衝撃だ。7-8年サイクルで起こるとは言われているが。立ち直るには時間がかかりそうだ」と懸念している。

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