日銀「主な意見」:目標達成に警戒信号、英国民投票見極め-6月会合

  • 物価目標達成遅れる公算なら追加緩和で決意示す必要との声
  • 「現状の国債買い入れはそれほど長く続けられない」との指摘も

日本銀行は24日午前、15、16両日開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。2%の物価目標の達成に「警戒信号が点滅」しており、達成時期が遅れる蓋然(がいぜん)性が高まれば追加緩和を実施すべきだという声が上がった一方で、英国民投票の結果を見極める必要があるとの意見も複数上がった。

  英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は23日実施され、日本時間の24日の序盤の開票結果では世論調査よりも接戦の様相を呈している。

  主な意見によると、経済情勢をめぐる議論で、「今後、英国のEU離脱問題の帰趨(すう)とその世界経済に及ぼす影響に注意が必要である」「英国のEU離脱に関する国民投票の結果次第では、市場のボラティリティが急速に高まる可能性がある」との声が上がった。

黒田日銀総裁

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  金融政策運営についての議論でも、ある委員が「金融政策のラグを考慮すると、現在はマイナス金利政策が実体経済と物価に及ぼす効果を見極める時期である。また英国のEU離脱の投票結果とその後の金融経済動向を見極める必要もある」と指摘した。

  一方で、ある委員は「生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価前年比や予想インフレ率指標に弱さがみられるなど、物価安定目標達成に警戒信号が点滅している」と指摘。その上で、「2%達成時期が遅れる蓋然性が高くなる場合には、追加緩和により、2%達成に向けた日本銀行のコミットメントを、人々とマーケットにあらためて示す必要がある」と述べた。

英EU離脱リスク後退で緩和に一歩近づくか

  日銀は4月28日の決定会合で、物価上昇率が目標の2%に達する時期は「2017年度中」として、従来の「17年度前半ごろ」から先延ばしした。昨年4月に「15年度を中心とする期間」を後ずれさせて以来、先送りはこの1年余りで4回目。過去3回は原油価格下落が主な理由だったのに対し、今年4月は成長率の鈍化や賃金の低迷を理由に挙げたが、追加緩和は見送った。

  21日公表された同会合の議事要旨によると、1月の見通しと比べて16年度の物価見通しが下振れることについて、その主な理由がこれまでの修正と異なり原油価格の想定の変更というより、成長率や賃金上昇率の下振れによるものであることを踏まえ、政策面での対応について議論が行われた。

  議論の結果、大方の委員は「国際金融市場において不安定な動きが続いており、そうした下では、前向きな変化が現れにくいことから、現時点では、政策効果の浸透度合いを見極めていくことが適当である」との見方で一致した。

  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは24日付のリポートで、6月会合の「主な意見」では、「より具体的に、『EU離脱の投票結果とその後の金融経済動向を見極める必要もある』との記述がある」と指摘。裏を返せば、英国のEU離脱の「リスク後退により、日銀は追加緩和に一歩近づくことになる」としている。

反対論も先鋭化

  一方、6月の「主な意見」では、現状のマイナス金利付き量的・質的金融緩和や、早期の目標達成のコミットメントに対する反対論が先鋭化していることも示された。

  ある委員は「現状の国債買い入れはそれほど長く続けられない。まだやっていけるという段階で、より持続可能なものに転換していく必要がある」と指摘。また、「市場実勢からかい離した価格での資産買い入れは、最終的に国民の負担につながる」との声も上がった。

  さらに、「短期決戦型の現状の政策の枠組みを持久戦により適したものに調整していく必要がある」との声が出たほか、「サプライズを狙った政策は、金融政策の予見性を大きく低下さ せ、市場のボラティリティを高めて、政策効果を減じる可能性がある」として、市場との対話の現状について批判的な声も上がった。
 

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