イエレン氏とドラギ氏の金融政策、さほど緩和的でない可能性

  • 自然利子率が米欧で低下-FRBエコノミストらが研究成果まとめる
  • 景気を本格的に刺激するには異例の措置が必要に

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁と米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長に悪い知らせだ。現行の低金利政策は以前に比べると経済をあまり押し上げていない可能性が、新たな研究成果で示された。

  FRBのエコノミスト、キャスリン・ホルストン氏とトーマス・ローバック氏、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁がまとめた新たな研究結果によれば、景気を刺激せず需要を抑制することもない政策金利の水準が世界的に低下している。自然利子率とも呼ばれる中立金利は欧州で2015年にマイナス0.4%と、07年の2%から低下した。米国では0.4%(07年は2.3%)、英国とカナダは1.4%だという。

  国・地域ごとの推定値が時間が経過しても足並みをそろえた動きとなっているのは、「成長トレンドや自然利子率の形成における国際的要因の重要性を示唆している」とエコノミストらは指摘した。

  この推定値にはインフレ率は加味されていない。物価圧力を反映させた場合、金融政策は依然として緩和的だ。米国の中立金利の推定値にコアインフレ率(4月は前年比1.6%上昇)を足すと2%近くとなる。米金融当局は今年、実効フェデラルファンド(FF)金利を0.37%付近に維持している。

  ECBの場合は、複数の政策金利があるため、さほど明確ではない。下限政策金利である中銀預金金利がマイナス0.4%なのに対し、主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利は0.00%、上限政策金利の限界貸出金利は0.25%。ユーロ圏の5月のコアインフレ率は前年比0.8%だった。このため、中立金利はゼロをやや上回ることになる。

  これらの分析結果は、ユーロ圏の場合、マイナス金利導入の下でも金利政策はそれほど緩和的ではないかもしれないことを意味するものの、ドラギ総裁をはじめとするECB当局者が進める大量の国債や社債の購入に加え、期間4年の条件付き長期リファイナンスオペを踏まえれば、政策全体としては緩和的だ。つまり、現状では景気を本格的に刺激するためにこうした異例の措置が必要になっているということだ。
  
原題:Yellen and Draghi’s Policies Aren’t So Easy After All(抜粋)

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