もう誰も信じない-英EU離脱派やトランプ氏支持者ら結ぶ怒りの連鎖

  • エリートや既存の体制への不信感が反EUキャンペーンをあおる
  • 米大統領選でのトランプ氏の躍進など世界的な広がりに

1999年、著名な英歴史学者ノーマン・デービス氏は英国の分裂を予言した。同年の著書「アイルズ 西の島の歴史」(邦題)で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの連合に必然性はなく、対立するそれぞれのナショナリズムに英国が持ちこたえることができると考えられる理由はないと論じた。

  それは欧州連合(EU)も同じだ。世界中の人々は間もなく、英国民が無数の専門家や自国指導者の警告を無視したかどうか知ることになる。その警告とは、23日の国民投票でEU離脱を決めれば、自ら重大な損失をもたらしかねないというものだ。

  2014年のスコットランドによる英国から独立の動きを同著作で予示することになったデービス氏は「あらゆるものがどちらかの方向に向かっていく」と語り、「諸行無常」を説く。

  現在の漂流は、親から子、孫の3世代にわたって欧州や米国の相対的な平和と繁栄を確保してきた制度への信頼喪失が広がっていることを示す。さらに、英国のEU離脱のキャンペーンは、信頼できる代替の枠組みも考えず、こうした制度を放棄してもよいとする多くの人々の存在を浮き彫りにした。

  EU離脱をめぐる英国の議論は世界中に共鳴する要素がある。欧州にまん延するナショナリストの運動や、米大統領選でのドナルド・トランプ氏の選挙キャンペーンなどに共通した不満に起因するものであると、ブルームバーグがインタビューした歴史学者や世論調査専門家、アナリスト、元外交官は語る。

  それは幻滅を意味する。グレートリセッションの余波を受けて山積したほぼ際限のないエリート不信に乗じ、英国のEU離脱派は勢力を拡大した。デービス氏によれば、それは同時に、英国におけるナショナリズム台頭の表現でもあり、欧州全域のナショナリストや反EUの動きと共通の動機を持つ。フランスでルペン党首率いる国民戦線(FN)が伸長し、オーストリアでは極右政党の自由党が大統領選で躍進したことが記憶に新しいだろう。

  デービス氏は「EUは加盟国のナショナリズムを抑えるため、第2次世界大戦後に創設された機関であり、極めてうまくその機能を果たしてきた」とした上で、「今では多くの人々がそれを全て忘れてしまった」と話した。

  その理由としては、金融・財政危機からの回復にユーロ圏が手間取っていることや、中東地域からの突然の難民・移民流入増大といった、より最近の課題にうまく対処できていない点が挙げられる。

  「連合の失敗が重なれば、反対方向の動きが強まるのは一段と当然の流れとなる」と、デービス氏はコメントした。

原題:No One to Trust: the Anger That Connects Brexit, Trump, Le Pen(抜粋)

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