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大手行の大半が短期金融市場に復帰せず、機能低下懸念も-調査(訂正)

更新日時
  • 大手行のうち3行がコール市場での資金調達「やりづらい」と回答
  • 一部銀行は短期の資金繰りでコールよりレポ市場を活用する傾向

日本銀行が金融政策の運営で重視する短期金融市場が、マイナス金利の導入以降約4カ月が経過した今も勢いを失ったままだ。ブルームバーグの調査によると、主要プレーヤーである大手銀行の大半は現在も取引に参加しておらず、同市場の機能低下が懸念されている。

  調査は6月上旬までに時価総額トップ5の民間銀行グループに対して実施。5行中3行が金融機関同士が資金を融通し合う無担保コール市場での資金調達を「していない」と回答した。理由には触れていない。またコール市場からの資金調達はマイナス金利導入前より「やりにくい」と答えた銀行が3行あった。

  2月16日のマイナス金利導入の数日後にコール市場(無担保翌日物)ではマイナス金利で取引が成立。資金はプラス利回りを求め国債市場でもマイナス金利がさらに広がった。銀行などが短期資金の融通に使うコール市場の残高は回復の兆しもあるが、過去15年間の平均の約3分の1に低迷している。

コール市場から逃げ出す資金

  みずほ証券の香月康伸シニアプライマリーアナリストは「一般的にコール市場が機能しなくなるのは銀行間のクレジットリスクが顕在化した時だ」と指摘。今回の機能低下はマイナス金利政策が原因だとした上で「日常の資金繰りをやり取りする市場であるため、債券市場よりもリスクの伝播は早い」と懸念している。

参加理由は「取引先との関係」

  また今回の調査によると、5行のうち2行は無担保コール市場で資金を調達しているが、理由は他の金融機関など「取引先との関係」という。一方で3行が金銭を担保として債券を貸借取引するレポ市場から資金を調達を「している」と答えた。コール市場に比べ流動性や匿名性が高く、まとまった調達が可能なためとしている。

  取引量が激減しているコール市場の先行きについては、3行が「まだ活性化の余地あり」、1行が「これ以上は難しい」、1行が「現状で妥当」とみている。

  日銀の黒田東彦総裁は2月の講演で、短期市場の金利をマイナスに押し下げる意向を示し、当座預金のマイナス金利幅が短期金利を上回る状態なら「マイナス金利での短期市場取引は成立する」と述べていた。しかし、みずほ証の香月氏が指摘するように短期金融市場は収縮し、機能が低下しているのが実態だ。

  足元ではコール市場に回復の兆しもある。短資協会によると、無担保コール翌日物の取引残高は10日、マイナス金利導入後で最も高い水準を記録している。一方、加重平均金利は22日時点でマイナス0.061%と4月に記録した最低値0.081%とマイナス幅は縮まった。10年国債の利回りはマイナス0.14%前後となっている。

本格回復に時間も

  セントラル短資の佐藤健司係長は「1カ月前と比べて顔ぶれ、量ともに増加している感じだ」とみている。その上で「次のステージに行きづらい。地銀などがそろい始める中、一段押し上げるためもっと大手行が出てきてほしい」と述べた。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストも本格回復は現実的には難しいとみている。

  今回調査に回答を寄せた金融機関(グループ時価総額順)は三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行。日銀統計によると、マイナス金利導入前の1月のコール市場(取り手・出し手合計)の平均残高35兆8062億円に占める都銀、信託銀行の割合は7割に上る。

  みずほ証券の土屋剛俊シニアエグゼクティブは、短期市場の残高低下は「コール市場や国債取引から締め出された資金が海外や不動産、信用力の低い企業向け貸し出しなどへ割高なプライシングで流れていることを示唆していると思う。金融機関にとっては将来の不良資産の元になりかねずマクロ的にもマイナスだ」と指摘した。

(第1段落でマイナス金利導入後の経過期間を訂正済みです)

(23日配信の記事で、第9段落の短資会社の名前を訂正します.)
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