英金融街、徹夜や朝4時始動も-スイス教訓にシステムと人員増強

更新日時
  • ICAPは23日から人員を多めに待機させる予定
  • バッツは売買高が過去に経験した水準の数倍に急増する事態を想定

英国の欧州連合(EU)残留あるいは離脱を問う国民投票を目前に控えて、シティー(ロンドンの金融街)のトレーダーらは、外国為替や株などあらゆる取引で相場が激しく変動する可能性に備えている。

  ロンドン時間の23日午後10時(日本時間24日午前6時)に投票は締め切られ、24日の未明から早朝にかけて各地の開票結果が順次明らかになる。トレーダーらは、市場の混乱の渦から嘆きの声に至るまであらゆる出来事に直面することが予想される。

  英国のEU離脱(Brexit)が決まった場合、米銀バンク・オブ・アメリカは株価が10%下落すると予測し、資産家で著名投資家のジョージ・ソロス氏は、Brexitウオッチャーの指標銘柄ともいえる通貨ポンドが20%を上回る急落を演じる可能性を警告する。

シティーのビル群

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  米国債と為替の重要な取引プラットホームを運営するICAPは、23日から人員を多めに待機させる予定だ。最大級の欧州株市場を運営する米バッツ・グローバル・マーケッツは、売買高が過去に経験した水準の数倍に急増する事態に備え、システムの耐久テストを実施。一部のサービスが制限される恐れがあると銀行が顧客に注意を呼び掛ける中で、ユーロネクストやトレードウェブ・マーケッツも特別な対策を取っている。

人繰りも強化

  ボストンに拠点を置く投信会社イートン・バンスのグローバルトレーディング・ディレクター、マイケル・オブライエン氏は「開票結果が明らかになる前後やその後の時間帯の人繰りをどこも強化しているに違いない。銀行は全てそうだが、多くの資産運用会社もそうではなかろうか。われわれに何ら違いはない」と話す。同氏自身も開票結果が判明するまで、会社のトレーディングフロアにとどまるつもりだ。

  予断を許さない接戦の見通しが世論調査で示されているが、「離脱」がトレーダーにとって予想外の結果だということが、市況の最近の持ち直しからうかがえる。金融資産を売買する欧州地域の取引システムの能力がそこで試される可能性がある。

  スイス国立銀行(中央銀行)の為替レート上限撤廃に伴う2015年初めのスイス・フラン急騰で、2億ドル(現在の為替レートで約209億円)強の損失を被ったリテール外為ブローカー、米FXCMは、ポンドやユーロなど一部通貨の証拠金の基準を引き上げると顧客に今週通知した。

スイスの衝撃から学ぶ

  電子取引プラットホームを運営するParFXは、国民投票前に顧客と定期的に接触して連絡を取っており、通貨プラットホームのトレーディングを拡大し、情報技術(IT)スタッフが必要に応じて対応できる態勢も整える。

  ParFXのダン・マーカス最高経営責任者(CEO)は、昨年のスイス・フラン急騰の衝撃から教訓を学んだとした上で、「ボラティリティの爆発的な高まりに備えて、市場参加者は今や周到に準備している。EU国民投票後に取引活動が著しく激しさを増す状況でも、慎重過ぎるほど慎重になる可能性が高い」と語った。

  欧州国債や米国債、金利スワップなどの取引プラットホームを提供するトレードウェブは、予想される早朝の売買高急増に対応するため、24日はロンドン時間午前4時(日本時間正午)にサービスを開始するという。

ロンドン証取は通常通り

  ロンドン証券取引所(LSE)の24日の取引開始時間は通常通りとなる予定。LSEでは株価の変動が一定の範囲を超えた場合に自動的に取引が停止される。バッツの欧州プラットホームでも前回の基準価格を極端に逸脱する注文を拒否する「プライスカラー」が適用される。

  パリとアムステルダムの株式市場を運営するユーロネクストも、株価の急変動に伴い取引を停止するサーキットブレーカーを備えているが、今週の大量の取引に備えてデリバティブ(金融派生商品)の価格制限を広げており、マーケットメーカー(値付け業者)の義務を一部緩和する可能性もある。

原題:London Markets Are Bracing for Brexit-Fueled Trading Bonanza (1)(抜粋)

(第7-9段落を追加して更新します.)
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