Fリテイリ柳井氏も抱える後継者問題、ソフトバンク孫氏のみならず

  • 「カリスマ経営者の後を継ぐのは難しい」-いちよし秋野氏
  • 創業オーナー企業での事業継承「大きな課題」-JPモルガン村田氏

ソフトバンクグループの次期社長候補だったニケシュ・アローラ氏の突然の退任で、孫正義社長の後継者問題は振り出しに戻った。ただ、大物経営者の後継者問題を抱える企業はソフトバンクに限らない。服飾メーカーのファーストリテイリング、自動車メーカーのスズキなども同じ問題を抱える。

  「カリスマ経営者の後を継ぐのは難しい。こだわりが強いし方向性がしっかりしている」といちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は指摘する。「80-90歳でない限り、限界までやることが多いが、よりバトンタッチが難しくなる」と話す。

  Fリテイリの柳井正会長兼社長は現在67歳。13年10月の会見で、それまで65歳で引退するとしていたが、同社が「グローバル化の真っ最中」であることを理由に続投を表明した。15年11月に山口市の本社で開かれた株主総会では「今の執行役員から後継者を選びたい」と述べた。社内の教育機関で執行役員が経営者になるための教育を行っているという。同社には現在上席執行役員が7人、執行役員が34人おり、柳井氏長男の一海氏と次男の康治氏が執行役員に名を連ねる。

  Fリテイリの広報担当、董佩琪氏は取材に対し、柳井氏の昨年11月の株主総会での発言に現時点で改めて加える内容はないと述べた。

次のマネジメント育成

  柳井氏は、いったんは社長の座を譲ったものの、売上高目標を達成できなかった玉塚元一氏の退任を受け、05年に自ら社長に復帰した。玉塚氏はFリテイリを去り、現在、ローソンの会長兼最高経営責任者(CEO)を務める。

  柳井氏は「次のマネジメントの育成が一番の課題だと思っているはず」と、JPモルガン証券の村田大郎アナリストは指摘する。「柳井さんはファーストリテイリングという会社のすべて。今の柳井さんの立場を誰かが1人で継ぐのは難しい」と述べた。

  軽自動車を強化してスズキを国内主要メーカーに育てた鈴木修会長は86歳となる今も現役だ。15年6月に長男で副社長の鈴木俊宏氏を社長に昇格する新体制を発表。今月には国の規定と異なる燃費測定方法があったことの責任を取って修氏はCEOを辞任したが、現在も代表権は持つ。

「冗談じゃない」

  ソフトバンクの社外取締役でもある柳井氏は22日に都内で開かれた株主総会に出席。孫氏が社長を続ける決意をしてから柳井氏らに相談したことについて、8月で59歳になる孫氏が「60にもなっていないのに引退、冗談じゃないぞ、というふうに申し上げました」と総会の場で明らかにした。

  JPモルガンの村田氏は「創業オーナーが元気なうちは業績がいいことが多いので問題ではないが、年を取って事業承継の計画が見えてこないとリスク」だと指摘する。「創業オーナーが多い日本企業にとって、事業承継はここから5年10年で一番大きな課題になる」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE