英EU離脱でも日本の単独介入可能性低い、協調は選択肢-関係者

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  • G7共同声明や各国中銀によるドル資金供給の可能性も
  • 黒田日銀総裁は23日から28日までスイスに出張

欧州連合(EU)からの残留か離脱かを問う英国の国民投票で、仮に離脱が決まり円高が進行した場合でも、日本単独での為替介入の可能性は低いと日本の通貨当局がみていることが複数の関係者への取材で分かった。国民投票の結果は日本時間24日に判明する見通し。

  関係者によると、英国のEU離脱で円高が進行した場合に、日本が単独で為替介入を実施することは諸外国の理解が得られにくいという。一方で、英ポンドが急落した場合、英国の要請に基づいて、主要7カ国(G7)でポンドを買う協調介入を実施する可能性はあるという。

  安全通貨と見られている円は、英国離脱の影響を最も大きく受ける通貨の1つだ。リスク回避の動きから円は既に大量に買われており、16日には一時1ドル=103円55銭まで上昇し、およそ2年ぶりの高値をつけた。

  麻生太郎財務相は21日の会見で、為替介入について「安易にするつもりはない」と発言。為替の急激な変動は望ましくないとするG7や主要20カ国・地域(G20)の合意に沿って対応をしていくと述べた。

  黒田東彦日銀総裁は16日の記者会見で、英国民投票でドル資金調達に障害が出た場合の対応について、主要中央銀行とも連携を取り合っているので十分対応できる、と述べた。市場関係者の間では、英国民投票の結果次第で、日銀が臨時の決定会合を開いて対応するとの見方も浮上している。

黒田総裁はスイスに

  日銀は22日、黒田総裁が23日から28日までスイスに出張すると発表した。国際決済銀行(BIS)の年次コンファランスや、BIS総裁会議などに出席するためという。日銀法によれば、臨時会合は総裁が不在でも開催できる。2010年には当時の山口広秀副総裁が臨時会合の議長を務めた。

  黒田総裁は、16日の金融政策決定会合後に足元の円高・ドル安を受けて、ファンダメンタルズを反映しない相場形成は好ましくないとした上で、足元の円高進行は日本経済や物価に悪影響を与える可能性があるとの認識を示していた。また、金融政策は為替を目標にしていないとしながらも、2%の物価目標達成に必要ならば3次元の緩和手段を活用してちゅうちょなく対応するとの立場を示した。

  関係者によると、英国が離脱を選択した場合には、投票結果の発表直後にG7による共同声明を発表する見通しだという。もし、G7による協調介入が実施される場合にはその事実を公表する可能性が高いとした。協調介入は東日本大震災後の2011年3月以来となる。この際には共同声明も併せてせて発表された。

  円相場は22日午後6時現在、1ドル=104円45銭前後で推移している。年初来では約15%の円高。

  青山学院大学教授の榊原英資元財務官は20日、ブルームバーグのインタビューで英国民投票で仮にEU離脱派が勝った場合には「円相場の100円突破は十分あり得る」と指摘。「今のドル安は米経済にマイナスではないため、米大統領選の前は介入しにくい」とする一方、「相当急速に円高・ドル安が進んで90円を目指すような展開になれば、米国も過度なドル安に危機感を持ち、合意するだろう」と読む。
 

(第6段落に黒田総裁の出張日程を追加、第9段落の為替相場を更新.)
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