「強力な嵐」がアジアの銀行収益を襲う恐れ-マッキンゼー

更新日時
  • 景気減速と技術的混乱、バランスシートの弱体化がROE押し下げも
  • アジア太平洋地域は15年の世界の銀行利益の46%を占めた

アジア太平洋地域の銀行は「強力な嵐」に直面しており、昨年5000億ドル(約52兆円)稼いだ同業界の利益の伸びを損なう恐れがある。米コンサルティング会社マッキンゼーが域内328行を分析したリポートで指摘した。

  マッキンゼーは域内行について、景気減速と技術的混乱、バランスシートの弱体化という3つの脅威が重なり、2018年までに株主資本利益率(ROE)を押し下げる可能性があると予想。リポートの執筆者の1人で、シニアパートナーのジョイディープ・セングプタ氏(シンガポール在勤)は、年間の利益の伸びが11ー14年の約10%から16ー21年には4%を下回る水準に減速する可能性があると予想した。

  リポートによれば、域内の景気減速が融資の伸び悩みと焦げ付きの急増につながっており、中国やインド、インドネシア、日本ではストレスを受けた資産が昨年4000億ドル近くに達した。08年の世界金融危機以降、金融機関は規制や自己資本基準の強化への対応に追われ、与信能力が抑制されている。

  セングプタ氏は電話インタビューで、域内の銀行は過去10年に「並外れた成長」を遂げたと述べた上で、「現時点は黄金時代の終わりだと言えよう。今目にしているのは3重の脅威だ」と語った。

  リポートによると、アジア太平洋地域の銀行は09年以降毎年、世界の銀行利益の半分近くを占めている。15年に世界の銀行が稼ぎ出した税引き後利益1兆1000億ドルのうち、アジア太平洋地域の銀行は46%を占めた。
  

  マッキンゼーの分析では、アジア太平洋地域の銀行のROEは13年の15%から14年に14%に低下した。銀行が行動を取らなければ「1桁台」に低下する恐れもあると、セングプタ氏は予想した。

  ここ10年の大部分の期間にわたって域内行の利益成長をけん引してきた中国は現在、経済減速で成長の足かせになっているとリポートは指摘。中国の景気拡大で長年恩恵を受けてきた香港やシンガポールといった金融センターにとっては難題だとした。セングプタ氏は「中国は確かに極めて重要な要因だ。アジアの富の多くが中国の動向に連動することは間違いなく、その点をわれわれは注視していく」と語った。

  マッキンゼーはまた、テクノロジー業界の新興企業やアリババ・グループ・ホールディングス、テンセント・ホールディングス(騰訊)などデジタル関連の大手企業が住宅ローンや決済システムなどの金融サービスを提供していることに言及し、これらの企業の攻勢をかわすため銀行にデジタル能力の構築を呼び掛けた。顧客中心のデジタル戦略を取れば顧客の忠誠心を醸成するだけでなく、経費削減にもなると分析した。

  リポートはさらに、アジアの銀行が自己資本比率を維持しながら不良債権の損失をカバーするには、20年までに4000億-6000億ドルの追加資本を調達する必要があるとの試算も示した。  
  
原題:Powerful Storm Set to Hit Asian Bank Profits, McKinsey Says (1)(抜粋)

(7段落以降を追加して更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE