トレーダーは眠らない、数十億ドルが動く夜-寝袋、コーヒーで重装備

  • スイス・フラン・ショックや1992年のブラックウェンズデーを想起
  • 寝袋、ホテル、コーヒーで国民投票結果の待ち時間を乗り切る

エンダ・ホマン氏は23日の夜を眠らずに過ごす。アライド・アイリッシュ銀行(ダブリン)のシニア外為トレーダーの同氏は23日夜から24日朝にかけて、英国が欧州連合(EU)に残るのか離脱するのかと固唾(かたず)を飲んでスクリーンを見つめ続けるだろう。市場のボラティリティという点でも、消費されるコーヒーの量という点でも記録的な夜になることは確かだ。

  「トレーダーにとって、1992年のブラックウェンズデー以来なかった特別な体験をする機会だ」と同氏は述べ、英国が欧州為替相場メカニズム(ERM)脱退を迫られた同年9月の出来事に言及した。食事は多分、近所の総菜屋からの中華になるだろう。「結果を待っている退屈な時間を乗り切るために、大量の入れ立てコーヒーも忘れてはならない」と同氏は付け加えた。

  欧州中で、トレーダーらとその雇用主は最重要の一夜のための準備を進めている。JPモルガン・チェースはカナリーワーフのオフィスの近くにホテルの部屋を予約。バークレイズはオフィスに寝袋を運び込み、夜に備えるため23日の昼間は一部行員たちを家で休ませる。他の銀行も仮眠用ベッドを用意したり、すしやピザの配達を予約したりと怠りない。もちろんコーヒーも準備する。

英金融街(シティー)のトレーダー

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  金融コンサルティング会社、グレースパーク・パートナーズ(ロンドン)のマネジングパートナー、フレデリック・ポンゾ氏は「トレーディングデスクはどこも戦闘準備態勢だ」と話す。「ボラティリティはもしかしたらスイス・フランの上限撤廃の時よりも跳ね上がるかもしれない。取引量はトレーダーや銀行のシステムを圧倒する可能性がある」とも述べた。

  世論調査結果は残留・離脱両派が拮抗(きっこう)しているため、トレーダーは24日早朝に最初の結果が出始めると共に売りか買いのどちらかのボタンを押そうと待ち構える。外国為替市場は24時間動いているので、トレーダーは1秒も遅れるわけにはいかない。大荒れの市場では利益または損失が数億ドルに上り得るとコンサルティング会社エート・グループは指摘している。

  バークレイズによれば、約1400億ドル(約15兆円)の現金が投資の機会を見極めようと待機している。バンク・オブ・アメリカの調査によれば、投資家の現金比率は2001年以来の最高。

  「大詰めの狂乱の取引は初期の結果が出る1、2時間前に起こるだろう。英国の銀行員らは、その時間に開いている市場であるアジアの同僚と緊密に連携して、ヘッジを維持したり調整したりすることになる」とエート・グループのシニアアナリスト、ジャビエ・パズ氏が話した。  

  株式トレーダーらも取引開始の午前8時よりもずっと早く出社する。セブン・インベストメント・マネジメント(ロンドン)の投資マネジャー、ベン・クマー氏は「チーム全員が午前2時には会社に来るだろう。そのころには結果が見え始める公算だ」と述べた。トウェンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ゴードン・シャノン氏はオフィスには行かないが自宅で徹夜するつもりだ。

  しかし一晩中オフィスに詰めるロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の行員たちにとっては、ファストフードが強い味方だ。シニアエコノミストのロス・ウォーカー氏は「向かいに24時間営業のマクドナルドがある」と話した。

  国内通信社プレス・アソシエーション(PA)によれば、投票結果は24日午前0時ごろに出始め、同3時半までには半分余りの結果が判明、同7時には集計完了の見込み。 

原題:Sleepless in the City Lets Traders Bet Billions on Brexit Result (抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE