【コラム】英国民投票、離脱支持なら24日はこうなる-エラリアン

23日の英国民投票で欧州連合(EU)「離脱」が支持された場合、その翌日の世界は以下のような状況だろう。

  外国為替市場は乱高下してポンドは対ドルで7ー10%下落し、ユーロも3ー5%程度下がる。先行き不透明感の高まりと経済成長への打撃必至との見方から、株式にも相当の圧力がかかる。

  キャメロン英首相は辞意を表明し、保守党は混乱。スコットランドは再び英国からの独立を目指そうとするし、北部が英国の一部であるアイルランドは両国間の人やモノの自由な移動はどうなるのだろうと考える。他の欧州諸国はがくぜんとし、ドミノ効果を懸念。そしてメディアの世界は、英国のEU離脱の原因を作ったのは一体誰なのかという犯人捜しで盛り上がる。

  アガサ・クリスティーのミステリー小説よろしく、犯人は複数いそうだ。が、今回の議論で責任が最も重い要因は一つ。それは先進国が社会全体に行き渡る高成長を実現できないでいることだ。この欠陥は放置される時間が長引くほど、悪影響はどんどん大きくなる。

  成長率がいらいらするほど低い時期に、先進国経済はうまく回らない。だが、低水準で包括的に広がらない先進国の経済成長を解決する方法はミステリーではない。必要な措置やその理由について、多くのエコノミストは既に同意している。悲しくも一貫して欠けているのは、そうした措置を実践に移す政治の意志と能力だ。

  英国がEUを離脱するトラウマが生じれば、「スプートニクの瞬間」とでも言えるような転機がもたらされるかもしれない。ショックを受けた政治指導者らが高成長を市民があまねく共有するという共通ビジョンの下で団結、リセッション(景気後退)や金融の不安定性を回避する措置で合意するというものだ。

  コストが高く痛みも伴う経済・金融上のショックが生じて初めて先進諸国から適切な政策対応を引き出せるかもしれないという認識は、政治の機能不全を示すさらなる証拠だ。この機能不全のせいで、中央銀行は長期にわたってあまりにも重い責務を担わされ、残された手段はますます尽きつつある。

  そして、英国がEU残留を選んだとしても、安心感を持ってはならない。もちろん、そのような結果となれば経済や金融を直ちに混乱させる脅威は取り除かれる。だが残念ながら、システムの根底にある経済成長をめぐる欠陥への対応はなされないままで、これが一段の混乱をもたらすのは必至だ。

(モハメド・エラリアン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:The Day After the U.K. Votes to Leave EU: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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