ロンドン金融街シティーは金の卵産むガチョウ、離脱なら黄金期終焉か

ロンドンの金融街シティー。スクエアマイルと呼ばれる狭い地域だが、昨年の英税収に660億ポンド(約10兆1000億円)寄与し全英で200万人以上を雇用する英金融業界の心臓部だ。ロンドンの住宅価格を普通の人の手に届かない水準に押し上げたり、金融危機時に1000億ポンド超の救済資金を必要としたりと、とかく恨みを買う部分もあるが、金融が英国一の金の卵を産むガチョウであることは間違いない。

  そのシティーの中枢を担う人物の多くが、英国の欧州連合(EU)残留・離脱が懸かる23日の国民投票の結果を心配している。約30年前のサッチャー元首相による大改革「ビッグバン」以降、欧州の金融の首都としての座を確実にしたロンドンだが、投票結果によっては黄金時代が終焉(しゅうえん)しかねない。

  2008年の金融危機時に英銀バークレイズの会長だったマーカス・エイジアス氏は「シティーが現在強力だからといって、永久にそれが続くわけではない」とし、EU離脱は「究極の愚行だ。われわれは将来振り返って、なぜあんなことをしたのだろう、いったい何を考えていたのだと、理解に苦しむことになるだろう」と話した。

英国国旗

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  離脱派はボーナス制限などのEUの規則から自由になることで英金融業界の世界的な競争力が高まると考える。しかし1980年代のビッグバンが海外の金融機関をロンドンに引き付けたのとは逆に、EU離脱は彼らを追い出す公算だ。

  シティーで働く40万人の大部分をこうした国際的な金融機関が雇用しているが、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、同行の英国内1万6000人の従業員のうち4分の1が消える恐れがあると従業員宛ての書簡で今月警告した。

  シティグループやゴールドマン・サックス・グループ、HSBCホールディングスも同様の警鐘を鳴らしている。ドイツ銀行のパウル・アハライトナー 監査役会会長は15日、離脱は英国にとって「経済的大惨事」を意味すると発言した。

  独アリアンツの主任経済アドバイザーでブルームバーグ・ビューのコラムニストのモハメド・エラリアン氏は「ロンドンに内在する要素」によって、23日の英国民投票の結果にかかわらずロンドンが金融機関にとって魅力的な場所であり続けると指摘するが、元労働党内閣の民間企業担当相で欧州委員会の通商担当委員も務めたピーター・マンデルソン氏は英国がEUを離脱すれば、ロンドンという「金のガチョウは傷付いてしまうだろう」と述べている。

原題:‘Big Bang’ to Brexit: The City of London Fears End to Golden Age(抜粋)

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