GPIFや3共済:日本株9654億円買い越し、株安・円高の1-3月

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  • 国債・財融債は1兆3624億円の売り越しながら、残高は増える
  • 「ある程度の評価損が生じたのは無理からぬところ」-C・アグリコル

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や公務員らが加入する共済年金は1-3月期に日本株を9654億円買い越した。世界的な株安や円高の中でも株式投資を進めた。日本銀行が17日公表した資金循環統計で明らかになった。

  GPIFや国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、年金特別会計などの「公的年金」による日本株の買い越しは3四半期連続だ。ただ、3月末の保有残高は40兆9207億円と2四半期ぶりに減った。TOPIXがその間に12%を超える下落率となるなど、市場全体の売り圧力を受けた格好だ。

  外国証券は867億円の売り越し。8四半期ぶりの売り越しで、残高は59兆4114億円と2四半期ぶりに減った。ブルームバーグによると、世界の取引所の時価総額は3月末に年初来3%弱の減少だった。国債・財融債は1兆3624億円の売り越しで、11四半期連続。残高は52兆4955億円と10四半期ぶりに増えた。日本銀行によるマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入など、市場金利全般への下げ(債券価格は上げ)圧力が掛かったことが影響したようだ。

GPIFの高橋則広理事長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

   
  3月末の主な金融市場の指標では、新発10年物国債利回りがマイナス0.05%と昨年末から32ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。米国債の10年物利回りは1.77%と50bp下げた。一方、株式指数では、TOPIXが12.9%下落の1347.20、MSCIコクサイ・インデックス(円換算)が6.6%下落の187266.37。ドル・円相場は7円65銭円高・ドル安の1ドル=112円57銭だった。

  今回の統計によると、国債・財融債と国庫短期証券を合わせた「国債等」の残高は3月末に1075兆円と、昨年12月末の1034兆円から増加。そのうち公的年金が保有する比率は4.9%と、3カ月前の5%とほぼ横ばいだった。

  世界的な景気減速や金融市場の混乱を背景に国内外で株安・円高基調が強まっている。3共済は昨年10月から、資産構成見直しで先行するGPIFと運用を一元化し、利回り目標やリスク許容度などを共有しており、対象となる資産規模は昨年末に合計で約23.6兆円に上った。

  クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、年明け以降の世界的な株安や円高を考えれば、公的年金の保有資産に「ある程度の評価損が生じたのは無理からぬところだ」と指摘。3共済がGPIFに追随して資産構成の変更を進める方針に変わりはないとの見方を示した。

  厚生年金と国民年金の積立金を運用するGPIFは14年10月末に大幅な資産構成の見直しをした。保有する国内債の目標値は従来の60%から35%に、内外株式はそれぞれ12%から25%に、外債は11%から15%へ変更。株式と債券が半分ずつ、または国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型だ。

  収益額は、資産構成の変更がほぼ一巡した直後の昨年7-9月期に約7.9兆円のマイナスと、同一基準でさかのぼれる08年度以降で最悪を記録した。10-12月期は持ち直したが、1-3月期は5.5兆円前後の評価損を被ったと市場関係者はみている。GPIFは同期間の運用収益と3月末の資産残高などの情報公開を参院選後の7月29日に行う予定だ。

  高橋則広理事長は4月のインタビューで、足元のポートフォリオの状況を尊重しながら運用していく意向を示し、保有で債券額の大幅削減や日本株などの急増は考えていないと述べた。GPIFは5月末に、基本ポートフォリオの定期検証結果を踏まえ、変更の必要はないとの判断を公表した。  

(第3段落1行目に情報を追加しました。第2段落4行目の下落率は訂正済みです。.)
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