【債券週間展望】長期金利低下か、英EU離脱懸念で買い継続との見方

  • 英国民投票の不透明感から債券市場は底堅い-マスミューチュアル
  • 議会証言:7月利上げのデータ揃わず、前のめりにならないとの見方

来週の債券市場で長期金利は低下が予想されている。英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の結果が出るまでは円高・株安基調が継続し、買い圧力が掛かりやすいことが背景にある。半面、市場では投票結果が判明する前に実施される20年債入札に対する警戒感が出ている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは、英国のEU離脱懸念を背景とした世界的な金利低下の流れの中で連日で過去最低を更新し、週初のマイナス0.155%から16日のマイナス0.21%まで一本調子で低下した。しかし、17日は利回り曲線が急激にフラット化した反動で超長期債を中心に売られ、10年債もマイナス0.14%と1週間ぶり水準まで上昇した。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「英国民投票の不透明感から債券市場は全体的に底堅い動きとなりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)がハト派だったことや日銀の7月追加緩和期待が残っていること、償還再投資の着金買いが週前半に見込まれることなども相場をサポートする」と言う。

  来週は23日の英国民投票(結果判明は日本時間24日)が最大の焦点。三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッドは、「冷静になればEU残留だろう。ただ週前半は不安定感が残る。投票終了後は、いったん混乱が収まる方向に向かいリスクオンか」と言う。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「EU離脱が決定されれば、金融市場はさらに混乱することが予想されるが、国債利回りの低下もかなり進んでおり、国内では国債利回りの低下余地は限られよう。離脱が回避されれば、安全資産としての国債需要が後退し、利益確定売りが強まる」と指摘する。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は21、22日に議会証言を行う。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて早期の利上げ観測が後退。英国民投票に向けたリスク回避の動きも影響し、米10年国債利回りは1.6%を下回っている。

国債入札

  財務省は21日に流動性供給入札を実施する。投資家需要の強い既発国債を追加発行するもので、今回は残存5年超15.5年以下が対象。発行予定額は5000億円程度となる。23日には20年利付国債入札が予定されている。発行額は1兆1000億円程度。

  マスミューチュアル生命の嶋村氏は、20年債入札について、「英国民投票の結果が分かる前であることや金利水準が低いことなどから、結果に対する不透明感がある」と指摘した。

  一方、三井住友アセットマネジメントの深代氏は、「今月最後の長い年限供給。これまでやり過ぎた分があるので積極的に高値は買わないだろうが、ある程度安くなれば投資する人はいるので波乱なく通過する。緩やかな金利低下トレンドに戻る」と予想する。

市場関係者の見方
*T
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド
*不透明感が続くため、主要国の債券利回りは低位安定
*イエレンFRB議長の議会証言は、7月に利上げするデータがそろっていないのでファイティングポーズは取るものの、前のめりにはならないだろう
*長期金利の予想レンジはマイナス0.20%~マイナス0.13%

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*超長期セクターは入札に向けてスティープニング傾向とみている
*英国民投票は最終的には残留を想定も、それによる円金利の上昇幅は限定的
*長期金利の予想レンジはマイナス0.20%~マイナス0.12%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*積極的に上値を追う動きは限られよう
*20年国債入札への警戒感が高まろう
*長期金利の予想レンジはマイナス0.20%からマイナス0.10%
*T

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