米国債:上げを消す、10年債利回りは一時2012年以来の低水準

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16日の米国債相場は上げを消す展開となった。欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票を控え、投資家の見方に変化が生じている。10年債利回りは一時、2012年以来の低水準を付ける場面があった。

  この日は英労働党の下院議員が銃撃され死亡する事件があり、これを受けてEU離脱派と残留派の両陣営とも国民投票を控えた運動を停止。こうした動きの中、米10年債利回りは上昇した。一時は世界的な国債買いの流れを引き継ぎ、米国債相場は上昇していた。

  英国民投票をめぐるここ数日の世論調査では、離脱派がリードしている。また英紙ガーディアン目撃者の話として伝えたところによると、銃撃犯は犯行の際に、移民受け入れに反対し、EU離脱を主張するグループのスローガンである「ブリテン・ファースト(英国最優先を)」と叫んだ。

  野村ホールディングスのストラテジスト、スタンリー・サン氏は「英国のEU離脱の可能性がわずかに低下したことで、リスクオンの地合いがやや強まっている」と指摘。「英国のEU離脱懸念が消えたとは考えていない。ただ、けさの債券価格の動きは極めて大きく、一日の動きとしてはやや行き過ぎだったと思われる」と続けた。

  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.58%。一時1.52%と、日中ベースで12年8月以来の低水準を付ける場面があった。

  FOMCは前日、政策金利を据え置いた上で、政策引き締めの道筋に関する予想を引き下げた。FOMC終了後に公表された当局者による最新の予測では、年内2回以上の利上げを予想する当局者の数は3カ月前と比較して減少した。

  10年債は割高とみなされる水準にあるものの、米国債には旺盛な需要がみられる。ニューヨーク連銀が開発した金融モデルに基づく10年物タームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)は、1962年以来の低水準が続いている。

  三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏(ニューヨーク在勤)は「利回りがプラスなのは米国債のみだ」とし、「海外でマイナス金利の度合いが一段と高まれば、米国の10年債への需要はさらに強まる」と続けた。

  先物市場に織り込まれる7月会合での米利上げ確率は8%と、年初時点の79%から低下。年内1回の利上げ確率は現在、約37%となっている。  

原題:Treasuries Erase Gains After Yields Touch Lowest Level Since ’12(抜粋)

(見出しやリードを書き換え、第6段落以降を追加し更新します.)
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