「有言不実行」の米金融当局、投資家の信頼喪失の恐れも

  • 「向こう数カ月以内の利上げ」から、見通し下方修正に転換
  • 信頼性に疑問符は必至との声も

「有言不実行」とは、まさにこのことだろう。米金融当局の言動である。

  期待外れの内容となった5月の米雇用統計発表に先立ち、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は、向こう数カ月のうちに追加利上げに踏み切る可能性を示唆し、年内2回の利上げ予想を裏付ける姿勢を示していた。

  しかし、15日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による最新の経済予測では、実質国内総生産(GDP)伸び率やインフレ率の見通しがほぼ据え置かれる一方で、今後予想される政策金利引き上げの軌道は全般に引き下げられた。

イエレンFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  具体的には、年内2回の利上げ見通しは中央値で変化がなかったものの、1回だけの利上げを見込む当局者は17人中6人と、前回3月時点の1人から急増した。2017、18両年の利上げペースの見通し(中央値)は3月時点のそれぞれ4回から、3回ずつに引き下げられた。

  米金融当局の以前の見通しを既に疑問視していた投資家は、金利の道筋を伝える当局の能力への信頼をさらに揺さぶられることになった。トレーダーはこれまでも、当局の見通しよりも緩やかな利上げペースを予想していた。米国債相場は上昇し、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は年内1回の利上げの確率も40%しか織り込んでいなかった。

  ボストン・プライベート・ウェルスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ロバート・パブリク氏は、「米金融当局はまるで道に迷っているかのように見える。見通しやガイダンスという点で他の市場参加者と同じくらい混乱しているようだ」と語った。その上で、「当局者は指導的役割を果たす立場にあり、その役割が信頼と連動しているとすれば、信頼性に疑問符が付くのは確かだ」と付け加えた。

  ジェフリーズ・グループのチーフ金融ストラテジスト、ウォード・マッカーシー氏は、「市場は当局の発信に対する懐疑を深めている」として、「数週間にわたって数カ月内に利上げすると言いはやしながら、今になって見通しを大幅に引き下げた」と指摘した。

原題:Fed Crying Wolf Risks Losing Investor Faith in Policy Rate Path(抜粋)

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