イエレンFRB議長、低金利長期化めぐるサマーズ氏の主張受け入れか

  • 議長は会見で低金利長期化の「ニューノーマル」に言及
  • サマーズ元米財務長官はかねて「長期停滞論」を唱えてきた

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、かつて議長の座を争う形となったサマーズ元米財務長官がかねて主張してきた見解に近づきつつあるように見受けられる。その主張とは、現在のような低金利の持続をもたらしている要因の一部は、長期的なものかもしれないというものだ。

  それは、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に公表された当局者による最新の経済予測に反映されている。ドット・プロット(金利予測分布図)では、政策金利見通しが下方修正され、年内の利上げ回数を1回だけと見込むFOMC参加者は17人中6人に増えた。2017、18両年の利上げペースの見通し(中央値)も3月時点のそれぞれ4回から、3回ずつに引き下げられた。

  イエレン議長は以前、金利が低水準にある主因として、住宅ローン市場のタイトな状況といった、先の金融危機の後遺症としての逆風を挙げ、やがてそうした負の力は解消するとの見方を示唆していた。

  だが、イエレン議長は15日、FOMC後の記者会見で、生産性の伸び悩みや米国および世界的な高齢化の進展など、一段と長期にわたって金利を低水準に抑えるような、より恒久的な要因に言及。「すぐにはなくならず、ニューノーマル(新たな常態)の一部となるであろう要素」だとした。

  サマーズ氏は過去数年にわたり、米国や他の先進国について「長期停滞論」を唱えてきた。その根幹の理論は、先進国の過剰貯蓄と需要不足が均衡金利を圧迫し、経済成長やインフレ率を押し上げるための金融当局による十分な信用緩和が困難になっているというものだ。均衡金利ないし中立金利とは、経済における貯蓄の需給を均衡させる金利水準であり、金融当局が成長加速を望むなら、その水準よりも低く金利を引き下げなければならない。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏(ニューヨーク在勤)はイエレン議長について、政策金利についてはサマーズ氏の主張を受け入れつつあるようだと分析。一方で、最新の予測で実質国内総生産(GDP)の伸び率見通しが2%に据え置かれたことに触れ、成長率については同氏の見解を支持していないと考えられるとした。

  イエレン議長の15日の会見を聴いて、年内の米利上げ回数の見通しを2回から1回に引き下げたフェロリ氏は、「米金融当局者はサマーズ氏ほど悲観的ではないが、生産性の伸びが低調に推移する可能性がある点を多少認めつつあるのは確かだ」と話した。

  サマーズ氏は14日のブログで、米金融当局の過去数カ月の行動を毎年2月2日に北米で開催されるイベント「グラウンドホッグデー」になぞらえた。このイベントは、冬眠から目覚めたジリスの一種のグラウンドホッグが、自分の影を見て春の訪れを調べるという伝説に基づくもので、同氏のブログは、利上げを望む当局が何度も頭を持ち上げるが、結局、見送ってしまうという趣旨だ。

  米ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト教授(経済学)は、「経済危機から今や7、8年経過したという事実と、名目フェデラルファンド(FF)金利が超低水準にあるにもかかわらず低成長が続いていることで、米金融当局はより低めの金利を伴うニューノーマルの考えを以前よりも容認するようになった」との見方を示した。

原題:Yellen Seems to Sign On to Summers’ View of Lingering Low Rates(抜粋)

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