円全面高、日銀政策維持で買い加速-対ドル1年10カ月ぶり103円台

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  • 黒田総裁会見中に一時103円55銭、2014年8月以来の円高値
  • ドル・円買う理由ない、米ハト派と日銀据え置きで-しんきんAM

16日の東京外国為替市場では円が全面高となり、対ドルでは約1年10カ月ぶりに1ドル=103円台まで水準を切り上げた。英国の欧州連合離脱(Brexit)をめぐる国民投票を来週に控える中、米連邦準備制度理事会(FRB)の前日の利上げ見送りに加えて、この日は日本銀行が金融政策の据え置きを決定したことを背景に、ドル売り・円買い圧力が強まった。

  午後4時51分現在のドル・円相場は103円92銭付近。一時は103円55銭と2014年8月以来の水準まで円高が進んだ。円は主要16通貨全てに対して前日終値から上昇。対ユーロで一時1ユーロ=116円92銭と13年1月以来の高値、対オーストラリア・ドルでは一時1豪ドル=76円10銭と、12年6月以来の高値をそれぞれ付けている。

  日銀は金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を賛成多数で決めた。ブルームバーグがエコノミスト40人を対象に6-10日に実施した調査では、今会合での追加緩和予想は11人(28%)と少数派にとどまっていた。次回7月28、29日会合が22人(55%)と最も多かった。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純シニアファンドマネージャーは、「連邦公開市場委員会(FOMC)についてもハト派的で、年1回、9月か12月に利上げできればよい状況」とし、「さらに日銀が金融政策を据え置いたということで、ドル・円を買う理由はない」と指摘。黒田東彦総裁の会見で「7月緩和について示唆があれば、そのショートカバーが入り、105円に迫ることがあるかもしれない」とした半面、「仮になかったら、下値めどの103円50銭を試す公算が大きい」と話していた。

  黒田総裁は会合後の記者会見で、新興国減速の影響などから輸出・生産に鈍さがみられるとした上で、景気は基調としては緩やかな回復を続けているとし、景気は先行き基調としては緩やかに拡大していくとの見解を示した。また、「経済のファンダメンタルズを反映しないような円高の進行であるとかボラティリティーの増加というのは、好ましくないと思っている」と述べた。

  みずほ証券投資情報部の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、黒田総裁会見について「今までと同様に日本経済に対して自信を示す発言に終始すると、緩和期待の後退でドル・円を売りやすくなってしまう」とし、「戻りが弱ければトレンドが明確に下向きに出たということで、Brexit前に101円をトライするような勢いになる」としていた。

  FOMCは14、15 両日の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25-0.5%で据え置いた。声明文では、成長が加速しているものの、雇用の伸びは鈍化していると指摘し、米経済はまだら模様の様相を呈しているとの見解を示した。当局者17人の予想中央値は引き続き0.25ポイントの利上げ2回になっているが、1回だけの利上げを予想する当局者は前回3月の1人から6人に増えた。

  FRBのイエレン議長は記者会見で、欧州連合(EU)からの脱退の賛否を問う23日の英国民投票に触れ、「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」と言明した。

  三菱東京UFJ銀行経済調査室の栗原浩史チーフ米国エコノミスト(ニューヨーク在勤)は、「見通しのドットの引き下げが先行きは結構大きかったし、声明文の変更においても改善したというようなことにもう少し言及してもよかったという気がする」とし、「FOMCは全体的にハト派的だった」と語った。

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