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自民の稲田政調会長:今は緩和より構造改革-預金マイナスない

更新日時
  • 金融政策は効果を上げているが、マイナス金利は誤解されている
  • 為替は安定してきている-急激な変動あればしっかり対処

自民党の稲田朋美政調会長は日本銀行による金融緩和政策だけでは経済は成長しないとの見方を示した上で、今は構造改革に注力するべきだとの考えを示した。15日、ブルームバーグのインタビューで語った。

  稲田氏は「金融政策は分かりやすいし、短期で効果が出る。構造改革はやるのは難しいし、やってすぐに効果が出るわけではない」と説明。その上で、「金融緩和だけで経済は成長するものではない」として、むしろ構造改革や成長戦略に取り組むべきだと話した。

  具体的な改革項目として、稲田氏は社会保障や雇用制度の改革に言及。中でも社会保障については、「個人消費を伸ばすためにもしっかりやっていかないといけない」と語った。安倍晋三首相は1日、新興国を中心とした世界経済が危機に陥るリスクに立ち向かうことなどを理由に、2017年4月に予定されていた10%への消費税率引き上げの2年半延期を表明している。

Japan's LDP Policy Research Council Chair Tomomi Inada Interview

稲田朋美自民政調会長

Photographer: Akio Kon/ Bloomberg

  日本銀行は16日に金融政策決定会合の結果を公表する。稲田氏は、今回の会合での追加緩和の必要性については「ニュートラル」との立場を示した。

マイナス金利

  自民党は3日、参院選の公約を発表。ゼロ金利を活用した財政投融資を具体化し、今後5年間で事業規模30兆円の確保を目指すと明記したが、日銀の金融政策には直接言及しなかった。14年の衆院選の公約には「次元の違う金融緩和」と記されていた。

  稲田氏は、公約で金融緩和への言及を見送った背景について、「あえて記載しなかった訳ではない。当然のことだということで公約には書かなかった」と説明。デフレ脱却に向けた日銀の対応については「物価安定目標を達成するまで金融緩和をしていくという姿勢を示してきた。その方針は支持をしたい」と評価し、マイナス金利も「その姿勢の1つだ」と語った。

  マイナス金利をめぐっては一部に誤解があるとの懸念も示した。導入発表後に金庫を買う人が増えたという事例を挙げて、「預金の金利がマイナスになると思っている人もまだいる」と説明した。

  マイナス金利の拡大については、「まずは誤解されている人に正しく認識してもらったり、マイナス金利の状況がプラスに働くかをしっかり見ていくことが重要」と語った。

  三菱東京UFJ銀行は国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)の資格を政府に返上することを検討している。稲田氏は、現段階では同銀行の方針は国債市場へそれほど影響はないとの見方を示す一方で、「どんどん広がっていくことになるとまた違うから、そこはしっかり見ていきたい」と話した。

為替

  16年に入り、為替相場では円高が進行。年初には1ドル=120円をつけていたドル・円相場は一時、105円台まで円が上昇した。インタビューを行った15日午後は106円台前半で推移していた。

  稲田氏は足元の為替相場を「ちょっと安定はしてきているのではないか」と見る。ただ、今後も急激な変動や投機的な動きが出ないか注視し、政府には必要があれば「しっかり対処してほしい」と求めた。

  23日には、英国の欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票が予定されている。稲田氏は、一時離脱派が優勢と見られた時も円高が進んだとして、「しっかり注視していく必要がある」と述べた。

経済対策

  安倍首相は1日の会見で、秋に「総合的かつ大胆な経済対策」を講じる方針を表明。政府・与党は今後その内容を検討するが、稲田氏は「選挙戦を通じていろんな地域に行き、いろんな考えを聞く機会もある」として、選挙後に具体的な中身が取りまとめられるとの見通しを示した。その際、「経済成長に資するかどうか」という観点が重要になってくるとも述べた。

  対策の規模についてもまだ決めていないと述べたが、「できるだけ赤字国債に頼らないように、アベノミクスの成果も使っていくことになる」と説明した。

  公明党が9日に発表した公約では、消費喚起のためにプレミアム付き商品券・旅行券の発行や全国規模のセールスイベントの実施を経済対策の中身として検討することを盛り込んだ。経団連の榊原定征会長も同日の会見で、消費喚起や需要創造につながる大規模な経済対策への期待感を示していた。

  また、自民党は消費増税で財源をねん出する予定だった社会保障制度の充実策について「赤字国債に頼ることなく安定財源を確保」することを公約で掲げた。稲田氏は、「将来世代に借金のつけを回すのは不道徳」とし、与党が税制改正大綱を取りまとめる年末までに安定財源を見つける考えを示した。

  稲田氏は福井県出身の57歳。早稲田大学卒業後、弁護士として活動していたが、2005年の衆院選に福井1区から立候補し、初当選した。現在4期目。第2次安倍政権発足後の12年12月に行政改革担当相として入閣を果たし、14年9月には党政調会長に抜てきされた。党財政再建特命委員会の委員長も務め、財政規律派としても知られる。

(15日送信記事の11段落以降に経済対策に関する発言などを追加します.)
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