日銀会合注目点:追加緩和は時間の問題か-英国民投票、国債PDも影

  • 市場はどちらでもという雰囲気-岡三証券・愛宕氏
  • 追加緩和は逐次投入型になる-SMBC日興証券・森田氏

日本銀行は16日の金融政策決定会合で政策運営方針を決定する。英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を23日に控えてリスク回避モードが強まる中で、1月末のマイナス金利導入以来の追加緩和に踏み切るかどうかが焦点だ。

  ブルームバーグがエコノミスト40人を対象に6-10日に実施した調査で、今会合での追加緩和予想は11人(28%)と少数派にとどまり、次回7月28、29日会合が22人(55%)と最も多かった。7月までに8割以上が追加緩和があるとみており、あとは時間の問題というのが市場の見方だ。

  複数回答可で手段を聞いたところ、有効回答32人のうち、長期国債の買い増しが14人(44%)、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い増しが25人(78%)、不動産投資信託(J-REIT)の買い増しが16人(50%)、マイナス金利の拡大が24人(75%)と、ETF買い入れの拡大を挙げる向きが最も多かった。

  注目点に関するエコノミストの見方をまとめた。

追加緩和はあるか

  4月の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は前年比0.3%低下。日銀が重視するエネルギーと生鮮食品を除いた日銀版コアCPIも4月には0.9%上昇と、昨年7月以来の1%割れとなった。

  岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストはブルームバーグ調査で、5月のコアCPIはよほどのことがない限り前年比0.5%低下、6月も場合によっては同程度のマイナスと、「物価面ではきつくなっている」とみる。1-3月に落ち込んだ生産は4-6月も地震で減産が続きそうなので、「これまでの日銀の情報発信との整合性を踏まえれば、6月に追加緩和をやらないとおかしい」という。

  一方で「市場はやっても効かないことを見透かしているので、やってもやらなくてもどっちでも、という雰囲気だ」と指摘。今回は動かないと思う人が増えれば増えるほど、「やればサプライズになる」という。

  東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは同調査で、最近の日銀版コアCPIは円高による財の下落が顕著で、サービス価格の上昇では補えない状態になっていると分析。この傾向はしばらく続く可能性が高く、「安定的な2%の達成は遠ざかりつつある」と指摘。「6月に追加緩和が決定されても不思議はない」ものの、実際の政策変更は「展望リポート発表時の7月ではないか」とみる。

  その背景として、米国が利上げに慎重になった中で日銀が追加緩和を打っても円安効果を得にくいこと、参院選前にマイナス金利の深掘りを行うと有権者に不安を与え得ること、さらに、もし23日の国民投票でイギリスが欧州連合(EU)離脱を決めると、追加緩和の効果は吹き飛んでしまうことを挙げた。

手段は何か

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは同調査で、11月緩和の予想は変えてないが、米国の利上げが難しくなったことから、「円高の一段の進行を受けて6ー9月のうちに追加緩和に動かざるを得なくなる可能性がこれまでよりもかなり高くなった」と指摘。ドル円相場が1ドル=100-105円のレンジに入ってきそうな場合、「黒田総裁は決断するだろう」とみる。

  緩和手段は量、質、金利の「3次元」の追加緩和が基本線としながらも、6月に追加緩和する場合は、マイナス金利への反発やシステム対応の遅れを考慮して、量と質のみにとどまる可能性があるとみている。

  ブルームバーグ調査では、緩和手段としてETF買い入れ増額を共通して挙げているエコノミストが多いが、長期国債買い入れ増額とマイナス金利の拡大はどちらかのみの予想が多い。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは14日付のリポートで、この点を踏まえ、日銀の金融政策が「『逐次投入型』になることを市場はほぼコンセンサス予想としつつある」とみる。さらに、黒田総裁がもしサプライズを狙うのであれば「抜本的な政策フレームワークの変更を打ち出すしかない」が、市場は実際には困難という見方に収れんしつつあるとしている。

プライマリーディーラー返上の余波

  マイナス金利をめぐっては、三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)の資格返上を検討していることが明らかになるなど、波紋も拡大している。

  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは10日付のリポートで、引き続き6月緩和を予想しているものの、「『大手行のプライマリーディーラー返上』報道によって、そのハードルは上がったことは否めない」という。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは10日付のリポートで、「銀行界をはじめ国民的な批判のほてりが冷めるどころか、逆にヒートアップしてきている感がある」ことから、マイナス金利の深掘りは「依然として難しい」と指摘する。大手行がPDを返上する方向で調整しているという事実が「マイナス金利政策をめぐるそうした実情を浮き彫りにした」とみている。

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