債券上昇、5年から40年債利回りが連日で過去最低-長い年限買われる

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  • 先物は152円87銭と最高値更新、長期金利マイナス0.21%まで低下
  • 今回見送ったがいずれ緩和せざるを得ないとの観測-BNPパリバ

債券相場は上昇。新発5年物から40年物の国債利回りが連日で過去最低を更新した。日本銀行がこの日の金融政策決定会合で現状維持を決めた後は売りが出たものの、根強い緩和観測を背景に買いが優勢となった。市場参加者からは需給の良さを背景に年限の長いゾーンを中心に買いが入ったとの見方が出ていた。

  16日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.205%で開始し、5営業日連続で過去最低を更新し、一時マイナス0.21%まで下げた。日銀会合結果を受けていったんマイナス0.185%まで上昇した後、マイナス0.205%に低下している。

  新発20年物の156回債利回りは5bp低い0.09%と5営業日連続で過去最低を記録。新発30年物の51回債利回りは5.5bp低い0.15%と4営業日連続で最低を付け、新発40年物の9回債利回りは3.5bp低い0.20%と3営業日連続で最低を更新した。新発5年物の128回債利回りは1bp低いマイナス0.305%と4営業日連続で最低を記録した後、マイナス0.285%まで戻した。

  SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、「長い年限が特に買われている。リスクオフの流れとなって、ドルを円に換える動きが出ている。中国系の資金も円債に入っているもよう。日銀は金融政策を据え置いたが、もはや水準の議論ではない」と述べた。

  今月は3カ月に一回の利付国債の大量償還となる。財務省の発表によると、15日から20日にかけて19兆円弱の償還が予定されている。メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「償還もあるし、売りが出ない中でちょっとした買いでも利回りは下がりやすい」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比9銭高の152円81銭と過去最高値を更新して始まり、一時は152円87銭まで上昇。午後の取引開始後は日銀会合結果を受けて、いったん18銭安まで下落する場面もあったが、引けにかけて持ち直し、結局1銭高の152円73銭で引けた。

  BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「債券市場はとにかく強い。特に後場の動きにはさすがにびっくりだ。30年債と40年債はここまで来るかという感じ。一つの金利水準に収れんしてしまうのではないかという印象すら抱かせる」と説明した。

日銀決定会合

  日銀は15、16日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成多数で決めた。マネタリーベースを年80兆円に相当するペースで増やし、日銀の当座預金の一部にマイナス0.10%の金利を付与するマイナス金利付き量的・質的金融緩和を続ける。ブルームバーグの事前調査によると、今回の会合で追加緩和を行うとの予想は28%にとどまっていた。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「このタイミングで何かするとも思えなかったので予想通り。声明文では物価見通しをたんたんと下方修正しながらも、先行き戻るとの目線は変えてない。今は見極めの時間帯」と指摘。「米連邦準備制度理事会(FRB)が英国民投票や米雇用統計を見極めると言っているのだから、日銀が動ける状況にはない」と述べた。

  次回会合について、BNPパリバ証の藤木氏は、「追加緩和は今回見送ったが、この株価とドル・円を見れば、いずれ追加緩和せざるを得ないとの観測は残る。2%の物価目標達成に対する信認はすでに失われているが、日銀の隠れた主眼は為替水準と株価になっているとみられるからだ。量的な拡大はもう難しいが、金融政策の焦点はすでに量から金利に移行しており、7月末にマイナス金利を深掘りする可能性はまだある」と話した。

  この日の東京株式相場は大幅下落。日経平均株価は前日比485円44銭安の1万5434円14銭で取引を終了した。東京外国為替市場では円が一段高となり、ドル・円相場は一時1ドル=103円台と2014年8月以来の円高水準となった。

  三菱UFJ信託銀行の資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、「円高の反応をみると、据え置きは予想通りではあるものの、多少の期待があったのだろう」と指摘。「英国の欧州連合(EU)離脱リスクが残る中で、今後もリスクオフの動きが強まるとみられ、金利上昇は限定的」と説明した。

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