中国A株のMSCI指数採用を見送り-地位向上の取り組みに痛手

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  • 売買停止や投資枠に関する措置を講じるも組み入れにはつながらず
  • A株市場へのアクセスをさらに改善する必要-MSCI

米MSCIは、中国本土で取引されている人民元建て株式(A株)をMSCI新興市場指数に組み入れることを見送った。A株を同指数に採用しない判断は今回で3度目。中国市場の地位向上と人民元の国際通貨化を目指す習近平国家主席にとって痛手となった。

  MSCIは14日、指数構成銘柄の定期見直しの結果を発表。A株の組み入れには市場へのアクセスをさらに改善する必要があると説明した。2017年の指数銘柄の見直しでA株の組み入れを再び検討することを明らかにしたが、それよりも早い時期に発表する可能性を排除しないとした。

  中国は今年に入って、MSCIから示されていた懸念事項を是正する措置を次々と実施。恣意的な売買停止を抑制するための規則の導入や、国境を越えた資本フローの規制緩和などを実施していた。

MSCIのヘンリー・フェルナンデスCEO

Photographer: Chris Goodney/Bloomberg *** Local Caption *** Henry Fernandez

  MSCIのグローバル調査責任者のレミー・ブリアンド氏は発表資料で、中国当局は市場開放へのコミットメントを行動で示してきたとしながらも、「投資家が市場アクセスのさらなる改善を目にしたいと考えていることは明らかだ」と指摘した。

  MSCIは投資枠付与や資本移動、取引停止に関する最近の方針変更の有効性を見極める時間が投資家には必要だと説明。また投信などが資金引き揚げに直面する可能性があるため、20%の月次資金還流制限が依然として投資家にとって「大きなハードル」だと指摘した。さらに金融商品導入に関する証取の事前承認規制も「依然未対応」だとした。

  ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのグローバル・マーケット・チーフストラテジスト、ポール・クリストファー氏は電話インタビューで、「今回のMSCIの決定は、中国が依然として市場の取引停止や空売りの違法化、公的資金による株式購入といった世界の投資家から歓迎されない市場手法を用いる閉鎖的な新興市場経済であることを示している」とした上で、「幾つかの市場改革が進んでいるが、MSCIはそれを見守り、検証したいと考えている」と述べた。

  中国本土株に投資する米上場投資信託(ETF)としては最大の「ドイチェXトラッカーズ・ハーベストCSI300中国A株ETF」は、ニューヨーク市場の時間外取引で、14日午後6時1分(日本時間15日午前7時1分)現在、2.3%安。オフショア人民元は0.2%安。

  バロン・キャピタルの運用担当者マイケル・カス氏(ニューヨーク 在勤)は電話インタビューで、「意外ではない。過去12カ月に行われたA株市場への政府介入を調べてみると、より分かりやすいだろう。MSCI指数に採用されている主要市場ではこうしたことは起きていない」と語った。19億ドル(約2020億円)を運用する同氏の新興市場ファンドの過去5年間の運用成績はブルームバーグが調査する同種ファンドの上位1%に入る。
  
  中国当局はMSCI指数採用に向け全力で取り組んできた。2月には適格外国機関投資家(QFII)制度の下で承認された運用者に対し、中国本土株市場からの毎営業日の資金の出し入れを認めた。これはオープンエンド型ミューチュアルファンドやETFにとって重要なルール変更となった。5月に主要証取は取引停止を制限するルールを発表。今月、中国は人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度の下で米国に2500億元(約4兆円)の投資枠を付与し、米投資家の中国本土市場への人民元建て投資を認めた。

  モルガン・スタンレー・インスティチューショナル・ファンド・グローバル・オポチュニティ・ポートフォリオの運用担当、クリスチャン・フー氏は「中国経済の規模は世界2位であり、世界指数、特に新興市場指数に採用されてもおかしくない。中国の資本市場は海外投資家にも開かれつつあり、同国にはかなりの数の優良企業がある」と指摘した。同ファンドの過去3年間のリターンは年率20%と、ブルームバーグが調査する同種ファンドの上位1%に属する。

原題:Chinese Stocks Denied MSCI Entry in Blow to Xi’s Ambitions (3)(抜粋)

(6段落目以降に市場関係者の発言などを追加して更新します.)
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