長期金利など軒並み過去最低を更新、世界的なリスク回避で買い優勢

更新日時
  • 先物は152円74銭と最高値更新、新発10年債利回りマイナス0.195%
  • 新発20年債利回り0.135%、新発30年債利回り0.21%

債券相場は上昇。新発10年物国債をはじめ、5年物、20年物、30年物、40年物の利回りが連日で過去最低水準を更新した。英国の欧州連合(EU)離脱懸念から世界的なリスク回避の動きが強まっていることに加えて、日本銀行の国債買い入れオペや大量償還などによる需給環境の良さを背景に買いが優勢だった。

  15日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいのマイナス0.17%で開始。午前10時10分の日銀買い入れオペの通知後には1.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.185%と4営業日連続で過去最低を更新した。午後はマイナス0.195%まで下げた。

  新発20年物の156回債利回りは横ばいの0.16%で開始し、午後に入ると0.135%まで下げ、4営業日連続で最低を記録した。新発30年物の51回債利回りは2bp低い0.21%と3営業日連続で最低を更新。新発40年物の9回債利回りは2bp低い0.245%と連日で過去最低となった。新発5年物の128回債利回りは1.5bp低いマイナス0.295%と3営業日連続で最低を付けた。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「23日の英国民投票までは売りも出しづらい。グローバルなリスクオフの流れを受けて、もともと一方向だったところに買い要因がきたので、売りがない中で金利低下だけが進んでいる感じだ」と話した。「償還月で国内勢もある程度はプラス利回りのゾーンを中心に買わないといけないのでフラット化しやすい。積極的に買っている海外勢が売りに転じない限り、しばらくこういった展開が続きそうだ」と述べた。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比3銭高の152円49銭で取引を開始した。日銀オペ通知後に水準を切り上げ、一時は152円74銭まで上昇し、過去最高値を更新。結局は26銭高の152円72銭で引けた。

  日銀が実施した今月5回目の長期国債買い入れオペ(総額1.15兆円)の結果によると、残存期間「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「10年超25年以下」、「25年超」の全てのゾーンで応札倍率が前回から低下した。

  メリルリンチ日本証の大崎氏は、日銀オペ結果について、「午前に急速に買われた割には思ったほどテールも流れず、予想より若干弱いイメージ。過去最低利回りを連日更新しているので、最近買ったものは日銀に売って利益を確定していく動きもあるだろう」と分析。「国債大量償還を控えている上、20日に新発債が発行されてからの方が応札が集まりやすく、実施のタイミングは後ずれしやすい」と言う。

  今月は3カ月に一回の利付国債の大量償還となる。財務省の発表によると、15日から20日にかけて19兆円弱の償還が予定されている。

日銀決定会合

  日銀は15、16日の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト40人を対象に実施した調査では、日銀が今回会合で追加緩和を行うとの予想は11人(28%)にとどまり、次回7月会合が22人(55%)と最も多かった。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「日銀は今週は追加緩和を見送るだろう。もともとカードが少ない上、英国民投票というイベントの前に動いても、離脱派が勝ったら円高は避けられない。その局面で『弾』がない事態は避けたいはずだ」と指摘。「離脱派が勝って市場が荒れたら、臨時会合という手もあるし、7月会合でも対応できる」との見方も示した。

  14日の欧州債市場で指標とされるドイツ10年物国債利回りがマイナス0.004%で引け、初めてゼロを割り込んだ。一時はマイナス0.033%まで下げた。世界景気の悪化や23日のEUをめぐる英国民投票を前に離脱支持派が勢いに乗りつつあることなどを背景に買いが優勢だった。一方、同日の米国株式相場は4日続落。S&P500種株価指数は0.2%安の2075.32と約3週間ぶり安値で終了した。

  みずほ証の丹治氏はこの日の相場について、「日銀のオペが入ったので、特に超長期ゾーンを中心に買い安心感が広がり、金利低下要因になった」と指摘。「英国のEU離脱を問う国民投票を巡る世界的なリスク回避は円高・海外金利の低下などを通じて国内金利の低下に働いている。離脱派が優位との世論調査が増え、市場は警戒してしかるべきだし、これだけ賛否が拮抗していると、どちらかに賭けるのは危険が大きい」と話した。  

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE