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三菱重CFO:三菱自株式売却、当面「難しい」-財務面一層強化

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三菱重工業は、筆頭株主となっている三菱自動車の現在の保有株式を維持する方針だ。三菱自は4月に燃費不正問題を発表し、日産自動車の傘下に入って立て直しを図ることになったが、三菱自の生みの親にあたる三菱重は当面の行方を見守る。同社は同時に次の新事業への投資など向け財務基盤の一層の強化を進める。

Masanori Koguchi

Masanori Koguchi

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  三菱自株の売却は「難しい。今年とか来年とかは考えていない」と、三菱重の小口正範最高財務責任者(CFO)はブルームバーグとの13日のインタビューで述べた。中長期的な可能性について「ある程度、事業がうまくいかないといけない」とし、現在は三菱自の株価も低いため、売却の決断は「タイミングを見極める必要がある」と述べた。

  三菱自は1970年に独立するまで三菱重の自動車部として開発・生産をしており、三菱重は現在も株式12.6%を保有する筆頭株主。日産自は5月、三菱自の第三者割当増資を通じて株式34%を取得すると発表し、三菱重に代わって筆頭株主となる見通しだ。一方、三菱重は保有比率が低下し、三菱自は持ち分法適用関連会社でなくなる。

  三菱重は資産管理の一環として、現在の中期経営計画で総額2000億円程度のキャッシュフローを創出するために、有価証券や土地の活用、売却などを進めている。三菱自株については、過去のリコール隠し問題発覚時に三菱グループの中核企業として積極的に支援してきた経緯もあり、他の保有株式などとは分けて扱う。

ライバルのGEやシーメンスは「横綱」

  小口氏は宮永俊一社長の事業改革の懐刀として活躍してきた。宮永社長が最高経営責任者(CEO)に就任した2014年4月に、グループ戦略推進室室長兼戦略企画部長となり、15年6月にCFO就任。小口氏は「各事業の収益性向上やバランスシート圧縮などの課題を踏まえ、さまざまなアクションプランに取り組んでいる」とし、財務面で「耐える力はついてきた」とみている。

  今後の取り組みについて、小口氏は「グローバル市場に出て行くには規模がまだ小さい」と述べた。相撲に例えて、米GEや独シーメンスは横綱、三菱重は前頭や小結とし、世界の企業はどんどん集約されて大きくなっているという。

  小口氏は格付け向上も重視する姿勢を示した。「何か起きた時、大きな勝負に出る時に、今のデット・エクイティ・レシオの水準だと約1兆円の資金調達余力はある」という。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、三菱重の格付けを15年8月に「Aー」に引き上げた。「企業であればどこかでリスクはとらねばならない。『A+』、可能であれば『AA-』ぐらいが望ましい」と述べた。

ポストMRJ事業

  三菱重が傘下の三菱航空機と開発を進める国産初のジェット旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)について、小口氏は米飛行試験への取り組みや量産体制の確立などの準備も含め順調だと話した。その上で、「当初予定していた予算よりも増えているのは事実だが、いろいろな変化に対して柔軟に対応する必要がある。数年以内にキャッシュリターンを得る見込みだ」と述べ、採算面では「1000機程度の受注で成功と言えるのではないか」と語った。三菱航空は2月に米航空機リース会社から最大20機の受注を発表し、これまでの累積受注は427機。

  次期中計ではMRJに続き、柱となる新規事業が発表される見通し。小口氏は「各事業には寿命があり、常に新陳代謝が必要」と述べ、現在主力のMRJに次ぐ事業を育成する必要があるという。投下資本の20%程度(約6000億円)を新規事業に充当してきたが、今後もこの方針を続けるという。次の柱となる新規事業については「この2年程度で検討する」と話した。

Mitsubishi Heavy's Cash Falls in Past Two Years

  三菱重は16年度の連結業績で売上高4兆4000億円、営業利益3500億円、フリーキャッシュフロー(FCF)1300億円を見込む。現中計の最終年度となる17年度は売上高5兆円、営業利益4500億円、FCFで2000億円を目標に掲げている。

(第4段落以降を追加.)
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