ライン、ライブドア残党が果たす市場復帰-堀江氏「ながかった」

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  • 旧ライブドア社員にとっては、10年ぶりの上場企業への復帰
  • 東日本大震災を教訓にアプリ開発、スタンプで人気に

スマートフォン向け無料通信アプリを運営するLINE(ライン)は7月に東京とニューヨーク両市場に上場すると発表した。出澤剛社長ら旧ライブドアの社員にとっては、10年ぶりの上場企業への復帰という意味合いも持つ。

  元社長の堀江貴文氏らが起こした粉飾決算事件で上場廃止となったライブドアは、2010年にラインの子会社となった。出澤氏や上級執行役員の田端信太郎氏らは当時からの編入組だ。ラインはライブドアを傘下に収めた後、東日本大震災直後に携帯電話で連絡が取れなかった状況を改善しようと、11年6月に提供開始した無料通信アプリで飛躍のきっかけをつかんだ。

ライン 出澤剛社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ライブドアは時価総額が一時8000億円を超え、投資家数は22万人まで膨らんだが、06年に上場廃止となった。隆盛期には当時の近鉄バファローズ買収を表明したほか、ニッポン放送株を取得してフジテレビジョン(現フジ・メディア・ホールディングス)と経営権を争った。堀江氏はニッポン放送買収を計画した後、「ソニー買収も検討していた」と語ったこともある。

返り咲き

  堀江氏は10日、短文投稿サイト、ツイッターに「旧ライブドア関連の会社は再びこの上場でみんな証券市場に返り咲きました。ながかったなあ」と投稿した。

  堀江氏は、15年6月のダイヤモンド社書籍オンラインでもラインの前社長の森川亮氏と対談し、ラインとライブドアの関係に言及している。堀江氏は対談で「僕の元部下は森川さんの元部下でもあります」「旧ライブドアという会社を知る者同士として、きっと見てきたものも近いと思う」と話した。

  また事件時にライブドアに在籍した小林佳徳氏が執筆した書籍には、ライブドアのモバイル事業を率いていた出澤氏が、事件の数カ月前に「ここまで来てしまったら、俺はこのまま、どこまで成長していくのかを見届けてみたい気もする」と話す場面が紹介されている。

赤字

  ラインは、アプリ内で使うスタンプで人気が広まった。13年3月に7500万人だったラインの月間利用者数は15年3月には2億500万人となり、3倍近く増えた。ただ、この1年の利用者の伸びは鈍化しており、16年3月時点の利用者は2億1800万人。15年12月期の売上高は前の期比40%増の1206億7000万円となったが、純損益は75億8200万円の赤字と、前の期の黒字から赤字転落した。

  堀江氏は11日、ニュース共有サービスニューズピックスで、ラインは「まだ投資フェーズであることを考えればまずまずの利益水準」と指摘。その一方で「株式交換での買収で成長を加速して行かねばならないことを考えると世界的には厳しい船出」と述べた。

  岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、ラインが普及した理由として「スタンプによって付加価値をうまく与えることができた」と分析する。無料で会員を集めサービスを生活に組み込んだため、「少額の課金でも収益が上がる」と述べた。

  日本では、高い市場シェアを背景にゲームやアプリ中で使うスタンプから収益を上げる。ただ、一段の成長へ向け、米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」や中国テンセント・ホールディングス傘下の「微信 (ウィーチャット)」などとの世界での競争に勝ち抜く必要がある。

52億円

  10日の発表資料によると、発行時の株式総数と想定発行価格から試算したラインの時価総額は約5880億円と、今年のIT企業の新規株式公開(IPO)としては世界最大規模。ニューヨーク証券取引所に7月14日、東京証券取引所に同月15日に上場する。調達した資金は、海外展開など成長戦略投資に充てる。

  取締役の慎ジュンホ氏の前期の報酬は、ストックオプションも含め52億4883万円だった。出澤氏が1億3315万円、取締役の舛田淳氏が1億206万円。ライン広報担当の齋藤伊超氏は報酬額について、「過去から現在におけるラインの誕生と成長への貢献度」に対して決定していると説明し、ラインの開発と成長は3人の「トロイカ体制で進めてきた」と述べた。

  ラインの親会社の韓国のポータルサイト運営会社、ネイバーの13日の株価は一時、前営業日比4.7%安の68万6000ウォン(約6万1800円)まで売られた。終値は同3.2%安の69万7000ウォン。

(最終段落から2段落目に取締役の報酬を追加しました.)
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