【今週の債券】長期金利低下か、日銀会合サプライズ余地大きいとの声

  • 長期金利の予想レンジは全体でマイナス0.20%~マイナス0.10%
  • 金利低下余地を試していく展開とみている-JPモルガン・アセット

今週の債券市場で長期金利は低下すると予想されている。日本銀行が今週開く金融政策決定会合で、市場参加者から予想を上回る内容の追加緩和策が発表されるとの観測が出ていることが背景だ。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.20%~マイナス0.10%となった。前週は10日にマイナス0.155%まで低下し、過去最低水準を更新した。

  日銀は15、16日に金融政策決定会合を開く。16日午後3時半からは今回の会合結果を踏まえて、黒田東彦総裁が定例会見を行う。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「今週は主要な国債入札はなく、日銀決定会合が最大の注目」と指摘。「日銀としては金融政策の限界を見透かされぬよう、利下げを含めた緩和パッケージで臨んでくるとみているが、会合後に株高・円安を演出することは、銀行業界のみならず世論や政治を納得させるために必須だ」と言う。「外部環境に左右されるところも大きく、会合当日まで予断を許さない。このため市場での織り込みも不十分で、サプライズ余地は大きい」とみている。

  14、15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。米連邦準備制度理事会(FRB)は日本時間16日未明にFOMC結果を発表する。ブルームバーグによると、米フェデラルファンド(FF)金利先物を基に算出した6月の利上げ予想確率はゼロ%だ。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「FOMCがほぼ確実に無風になることを考えると、今週は日銀会合の方に関心が集まる」と指摘する。日銀会合については、「市場コンセンサスは今月より来月の緩和確率を高くみているようであり、緩和は限界との見方から追加緩和は近い将来ないとの見方も多い。見方が割れているだけに、政策決定後には日本国債市場でもある程度の変動は生じ得る」と言う。

  来週23日には英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を控えている。パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「EU離脱に関する英国民投票を意識する形でリスクオフの動きが出てくると思う。EU離脱に絡んで、リスク警戒感が強まり、円高になれば、緩和があっても円は売られない」と話した。

流動性供給入札

  財務省は17日午前に流動性供給入札を実施する。発行予定額は4000億円程度。投資家需要の強い既発国債を追加発行する入札となり、今回は残存15.5年超から39年未満の国債が対象銘柄となる。

  今月は利付国債の大量償還を控えている。こうした資金の国債市場への再流入観測が出ており、需給環境は引き続き良好だ。財務省の発表によると、15日から20日にかけて19兆円弱の償還が予定されている。

  パインブリッジの松川氏は、「流動性供給入札は日銀決定会合の後で、緩和したら高値で買わされることになりそう。もっとも、プラス金利の年限対象であり、償還資金に吸収されると思う。ショートカバーの需要もあるだろう」と予想する。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しのコメントは以下の通り。

*T
◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物9月物=151円90銭-152円50銭
10年物国債利回り=マイナス0.18%~マイナス0.12%
  「金利低下余地を試していく展開とみる。需給面では通貨スワップ取引で優位に立つ外国人の買い需要が相当強い。FOMCについては、今回は動かないとしても、利上げの方向性自体は変わらないので、先行きにどのくらいのトーンを出してくるか。日銀は現状維持とみている。EU離脱をめぐる英国民投票に向けた世論調査も相場に影響する可能性がある。日本人投資家にとってはFRBの金融政策見通し以上に不確定な要素だ」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物9月物=152円10銭-152円85銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.20%~マイナス0.13%
  「決定会合次第だが基本的に相場上昇を見込む。FOMCでは利上げが見送られると想定する。米雇用統計が悪かったため、強気の声明は出せないだろう。米雇用情勢はピークアウトし、米金利など世界的に金利低下の流れ。日銀会合は追加緩和があるか微妙。緩和はないかもしれない。なくても円高になればリスクオフになるだろう。緩和がありマイナス金利が拡大されれば買われる。どちらにしても買われる」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
先物9月物=151円95銭-152円60銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.175%~マイナス0.10%
  「今週は全体的に金利が下がる材料の方が多い。週初は償還再投資を背景にした好需給をベースに日銀の追加緩和への多少の期待や英国のEU離脱をめぐる不透明感から、円債は新値取りの動きが強まるとみられる。FOMCは利上げはなく、7月利上げ確率は現状維持か下がる方向の内容か。日銀はタイミング的に追加緩和が難しいとみられるが、サプライズの可能性はゼロではない。ただ、週後半には償還再投資の動きは一巡し、売りも出てくると想定する」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物9月物=151円60銭-152円60銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.17%~マイナス0.10%
  「日米ともに金融政策は据え置きになるとみている。英国のEU離脱を問う国民投票を控えているため、もともと日米ともに金融政策は動かしにくい。足元の金利低下は、米利上げ観測が遠のいたことによる反動で、これもかなり織り込んだことから、相場上昇余地もあまりないだろう。米国は小売りなど内需関連指標を見て、マインドの上昇を待つという状況か。一方、日銀の追加緩和は早くて7月と予想する。その場合、量の拡大を選択するのではないか」

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE