【コラム】マイナス金利を恐れるな、重要なのは使い方-コチャラコタ

世界各国・地域の金融当局の間では、景気刺激策としてマイナス金利という、賛否の分かれる措置を採用する動きが見られる。私自身はマイナス金利について、有益な手段となり得ると確信しているが、それが効力を発揮するかどうかは使い方次第である部分が大きい。

  私は最近、ワシントンのブルッキングズ研究所で開かれた会議に参加した。そこではエコノミストがユーロ圏、デンマーク、スイスでのマイナス金利採用の影響を検証した。そこで得られた大まかな結論は、マイナス金利採用に特別な点はないということだった。

  金利をプラス圏で0.5%から0.25%に引き下げるのと、マイナス幅を0.25%から0.5%に拡大するのとでは、効果にほとんど差はないと考えられる。いずれのケースも支出を促すとともに、銀行や保険会社からは収益性の低下を招くとして金融当局に不満の声が寄せられる。

  ただ、コミュニケーションは重要だ。金融当局は通常、マイナス金利の採用には極めて消極的な姿勢を示す。米金融当局は先のリセッション(景気後退)のどん底でもそれを避けた。こうした消極的な態度によって、ゼロ金利採用は苦肉の策と受け止められ、経済への信頼を損なう事態となりかねない。

  1月に小幅なマイナス金利の採用を決めた日本銀行だが、その政策が期待したほど効果を上げていないのもほぼ間違いなくこの理由によるもので、米金融当局の場合もマイナス金利の採用を検討していないと言い張ることで、同じわなに陥りかねない。

  一般の人々やその選ばれた代表がマイナス金利を不安視するケースが多い点を踏まえれば、コミュニケーションの重要性は増す。デンマークでは、同国通貨クローネとユーロとの安定的な為替レートを維持するという金融当局の目標を国民が理解し全面的に支持した。

  米国など他国・地域の金融当局も、マイナス金利を採用する場合にその目的についてデンマークと同じように広範な支持を確保できるよう一段と努力すれば、同政策採用に対する政治的な障害はより少なくなるだろう。

(ナラヤナ・コチャラコタ氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストで、2009-15年に米ミネアポリス連銀総裁を務めた。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Don’t Fear Negative Interest Rates: Narayana Kocherlakota(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE