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LINE:時価総額4000億円減、上場延期の2年間で-利用者伸び鈍化

  • 今年のIT企業のIPOとしては世界最大規模、時価総額5880億円
  • 当初は1兆円見込み、成長の期待値が下がってきた-アナリスト

スマートフォン向け無料通信アプリを運営するLINE(ライン)は7月に東京とニューヨーク両市場に上場すると発表した。時価総額は今年のIT企業の新規株式公開(IPO)としては世界最大規模となるが、最初に上場を申請した2年前と比較すると4000億円の減額となった。アナリストは市況の悪化とともにラインの成長性が下がっていると指摘する。

  10日の発表資料によると、発行時の株式総数と想定発行価格から試算した時価総額は約5880億円。ラインは2014年に東京証券取引所と米証券取引委員会(SEC)に上場を申請していたが、事業展開を優先し延期してきた。当時は上場した場合の時価総額が1兆円以上になるとみられていた。

Line Corp. Applications At Showcase 2014 Touch & Try Event

ラインのアプリを試す女性

Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg

  13年3月に7500万人だったラインの月間利用者数は15年3月には2億500万人となり、3倍近く増えた。ただ、この1年の利用者の伸びは鈍化しており、16年3月の利用者は2億1800万人。

  エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、市況が悪化していることに加え、利用者の増加ペースが落ちていると指摘。高い時価総額は「利用者の増加が前提だったが、成長の期待値が下がってきた」ために減額になったと分析する。

  ライン広報担当の市川伸氏は、上場の時期について「成長戦略と海外展開という点においてさまざまな条件や環境が整った。そのため、このタイミングがベストだと判断した」と述べた。

成長戦略

  東京証券取引所に7月15日、ニューヨーク証券取引所には同月14日に上場する。想定発行価格は2800円で、仮条件を6月27日、公開価格を7月11日に決定する。手取り概算額は約1000億円となる。ラインは調達した資金を債務返済や海外展開など成長戦略投資に充てる。ラインの親会社の韓国のポータルサイト運営会社、ネイバーは上場後も8割の株式を保有する。

  ラインは国内では、高い市場シェアを背景にゲームやアプリ中で使うスタンプから収益を上げる。ただ、一段の成長へ向け、米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」や中国テンセント・ホールディングス傘下の「微信 (ウィーチャット)」などとの世界での競争に勝ち抜く必要がある。ワッツアップは2月に月間利用者数が10億人を突破、微信は3月末時点で7億6240万人だった。

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「ラインがグローバル展開を本格化させる上で、本当のチャレンジはこれからだ」と指摘。日米上場により米国でのブランド力強化にはつながる可能性はあるが、フェイスブックなど「既存の競争相手との競争は厳しい」とみている。東南アジア市場では「ユーザー拡大を加速させていくだろう」と話した。

LINE GROWTH

  10日の発表資料によると、15年12月期の売上高は前の期比40%増の1206億7000万円となったが、純損益は75億8200万円の赤字と、前の期の黒字から赤字転落した。売上高のうちゲームなどコンテンツ事業が41%と最も大きく、スタンプなどのコミュニケーション事業が24%、広告は30%を占めた。

  ラインの前身は00年にゲーム会社として設立された。10年には、粉飾決算事件で上場廃止となったライブドアを子会社化。11年6月に無料通信アプリ「LINE」の提供を開始した。出澤剛社長は15年4月に就任した。

Line Corp. Chief Executive Officer Takeshi Idezawa News Conference

ライン出澤剛社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg *** Local Caption *** Takeshi Idezawa

  4月のブルームバーグとのインタビューで出澤社長は「いまユーザーを増やす上で一番力を入れているのがインドネシア」だとし、月間アクティブユーザーが過去2年間で3倍に増加したと述べた。その上で、それ以外のアジアから中東地域にかけてもトップシェアを取れるよう働き掛けていると話した。

  上場にあたってのジョイント・グローバル・コーディネーターは野村証券、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券の4社が務める。

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