ジョージ・ソロス氏の最近の予想を検証-常に的中とは限らず

更新日時
  • ソロス氏は1-3月期に米国株保有額を縮小し、金関連に投資
  • 借り入れが支える中国経済に警戒感、13年の円安予測は読み通り

1992年にイングランド銀行(英中央銀行)を打ち負かした投資家として知られる85歳の資産家ジョージ・ソロス氏は、ファミリーオフィスで日々のトレーディングへの関与を強めており、一連の大口の弱気トレードを行っている。

  ソロス氏は数十年前、ヘッジファンド運用者として当時のチーフストラテジスト、スタン・ドラッケンミラー氏とともにポンド売りを仕掛けて10億ドル(現在のレートで1070億円)を稼いだ人物として有名。ただ、ソロス氏の予想は常にうまく的中したわけではない。

  同氏のファミリー・オフィス、ソロス・ファンド・マネジメントはさまざまな市場が弱含むと見込み、公表している米国株保有額を1-3月(第1四半期)に37%減らす一方、産金株と金価格に連動する上場投資信託(ETF)を購入した。その後のS&P500種株価指数のリターンはプラス3.1%。1-3月期に開示した新規ポジションで最大の加バリック・ゴールドの株価は44%の大幅高を演じた。

  以下はソロス氏の最近示した予想の一部と、同氏のファミリー・オフィスが過去数年に行った取引。

中国への不安

  ソロス氏は少なくとも2013年以降、中国に不安を抱いており、同国の金融機関が景気減速に対応できなくなるとの懸念を強めている。同氏は今年、中国経済が07ー08年の米国に似ており、借り入れが成長を支える状況は中国の銀行システムに不確実性と不安定さをもたらしたと指摘。「銀行が供給する資金の大部分は、不良債権をそのままにして赤字企業が生き延びるために必要とされている」と4月20日にコメントした。

  中国の社債市場にはより多くのデフォルト(債務不履行)が迫っている可能性がある。ブルームバーグ・インテリジェンスの5月の試算では、利払いを賄う十分な利益を持たない借り手の「リスクローン」と分類できる借り入れは、15兆6000億元(約254兆円)に上った。これは15年の中国国内総生産(GDP)の23%に相当する。

  ただ、ハンセン指数の過去3年のリターンは10%で絶好調とは言えないまでも、08年の米国株のマイナス37%ほどの不振でもない。15年4月に付けた金融危機後のピークからは配当を含めたベースでマイナス22%。

欧州危機

  ソロス氏は11年9月24日のパネル討論会で、ギリシャを発端とした欧州債務危機が「08年の危機よりも深刻だ」とコメント。昨年にはギリシャのユーロ圏離脱の確率は五分五分だとの見方を示した。

  しかしここにきて投資家は中国に関心を強めており、ユーロ圏経済への神経質な見方は後退している兆しがある。ギリシャとユーロ圏の債権者は次回の救済融資実行で合意に近づいている可能性があり、合意できれば今夏の債務返済を履行でき、欧州中央銀行(ECB)のリファイナンスオペへのアクセス回復に向けて道が開ける。

  ソロス氏の11年のコメント以降のブルームバーグ・ヨーロッパ500指数のリターンはプラス82%で、欧州の国債リターンはドル建てでプラス約14%。

円の大幅安

  ソロス氏のファミリーオフィスは12年11月から13年2月にかけて、日本銀行に追加刺激策を迫っていた安倍晋三首相の下で円が急落すると見込んだ投資が奏功し、10億ドル近くを稼いだ。それから数カ月後にソロス氏は、金融緩和を拡大する動きをきっかけに市民が海外に資金をシフトさせ、円相場が「雪崩」を起こす恐れがある警告した。

  ソロス氏は13年4月5日にCNBCのインタビューで、「日本は25年間経済を前進させられずに赤字を積み上げるだけだったため、日本が行っていることは実際のところ非常に危険だ」と発言。中銀当局者は円の下落を止めることができないかもしれないと述べた。

原題:Here’s How George Soros’s Latest Predictions Have Played Out (1)(抜粋)

(円相場に関する部分を追加して更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE