ドイツ銀資産運用トップ退職は新たなつまずきか-再編策に狂いも

更新日時
  • 資産運用部門責任者プライス氏が退職することが決まったとドイツ銀
  • ドイツ銀は米国のデジタルバンク計画を断念する方針も行員に伝えた

ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行は、ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)が推進する改革プランにほころびが生じるリスクが出てきた。CEO就任後に採用した最も上席の幹部が退職することになり、昨年示した戦略の出だしでのつまずきが一つ増えそうだ。

  資産運用部門の責任者として昨年10月に採用されたクインティン・プライス氏は、今年4月半ばにメディカルリーブ(傷病休暇)に入ったが、退職することが決まったとドイツ銀が8日発表した。クライアンCEOは、過去2週間で米国の新たなデジタルバンクの計画を断念する方針を行員らに伝え、リテール(小口金融)部門ポストバンクの切り離しの動きが難航するという見通しを示した。事情に詳しい関係者の1人によれば、英保険部門アビー・ライフの売却の行方も監督当局の調査で複雑になっている。

  ドイツ銀の株価は年初来で約3分の1下げ、下落ペースは欧州のライバル金融機関を上回る。昨年共同CEOに就任し、投資家と行員らの信頼回復を図りたいクライアン氏は、組織の簡素化とトレーディング業務縮小を通じて資本水準および収益力の強化を目指すプランをまとめ、6つの優先課題を掲げた。しかしプライス氏が去り、資産売却プロセスもこう着する状況では、そのうち半分の進展が今や脅かされている。

  ドイツ銀の投資判断を「セル(売り)」に設定するハンマー・パートナーズ(スイス・ルガーノ)のエンリコ・ラチオッピ氏は「この銀行は複雑で巨大過ぎる。クライアン氏は体制を整えようとしているが、難しい仕事だ」との見方を示す。

  米資産運用会社ブラックロックの元幹部プライス氏(54)は、クライアン氏が約1年前に共同CEOに就任した後に執行役会に加わった唯一のメンバー。医師と相談した結果、今月15日付で契約を終了したいと申し出た。

  アトランティック・エクイティーズのアナリスト、クリストファー・ウィーラー氏(ロンドン在勤)は「資産運用は決定的に大事な業務であり、プライス氏は外部から採用した重要な人材だった。クライアン氏は自らが立てた戦略の実行を妨げる新たな障害に直面している」と指摘した。

  ドイツ銀の法務関連費用および引当金の負担は、2012年初め以降で総額126億ユーロ(約1兆5200億円)に達し、欧州大陸の金融機関で最も多い。

原題:Deutsche Bank CEO Cryan Gets No Relief as His Biggest Hire Exits(抜粋)

(最終段落にドイツ銀の法務関連費用などを追加して更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE