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中曽日銀副総裁:年金生活者や高齢者に申し訳ないが必要なら緩和

更新日時
  • 資産の大半を預貯金で保有する年金生活者や高齢者にはデメリット
  • 4月は効果見極めで現状維持、必要なら追加緩和排除するものでない

日本銀行の中曽宏副総裁は9日午前、秋田市内で講演し、マイナス金利政策について、金融資産の大半を預貯金として保有する年金生活者や高齢者の方には「申し訳ないことだと思っている」と述べた。一方で、必要があると判断すれば量、質、金利の3次元で追加緩和を講じる姿勢も示した。

  中曽副総裁はこの後行った記者会見で、マイナス金利の副作用は来週開かれる金融政策決定会合でマイナス金利を深掘りすることの障害になるか、という質問に対し、マイナス金利による「政策のプラス効果は現れていて、今後実体経済や物価面にも着実に波及していく」とした上で、「副作用を勘案しても、政策効果が大きい」と述べた。

  中曽副総裁は講演で「住宅ローンがなく、金融資産の大半を預貯金として保有する年金生活者や高齢者の方にとっては、借入金利低下のメリットを受けない一方、利息収入の低下だけがデメリットとして意識されることになる」と指摘。「低金利はもう20年間も続いており、そうした方々には申し訳ないことだと思っている」と述べた。

  一方で、「日銀が2%の物価目標をできるだけ早期に実現するというコミットメントにはいささかの変化もない」と指摘。前回4月末の金融政策決定会合で、成長率や賃金上昇率の下振れから消費者物価の見通しを下方修正したにもかかわらず、追加緩和を講じなかったことについて「政策効果の浸透度合いを見極めることが適当と考えたが、このことは、必要な場合に、追加的な金融緩和措置を決定することを排除するものではない」と語った。

必要なら3次元で

  わが国の経済・物価見通しについては「世界経済の不透明感や不安定な金融市場など、 下振れリスクが引き続き大きい」とした上で、「今後、毎回の金融政策決定会合においてこうしたリスクを点検し、物価目標の実現のために必要と判断した場合には、量・質・金利の3つの次元で追加的な緩和措置を講じていく方針だ」と述べた。

  中曽副総裁は5月23日に都内で行った講演でも、マイナス金利について、先行した欧州の例を長期間にわたり研究し、批判が出ることは予想していたものの、「実際の批判は予想より大きかった」と指摘。「国民一般にとって分かりにくい面もあり、このような批判や痛みにはよく耳を傾けていく必要がある」と述べている。

  今年1月のマイナス金利導入後、10年物国債までマイナス化するなか、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)の資格返上を検討していることが明らかになった。日銀は15、16両日、金融政策決定会合を開き、当面の金融政策運営を決定する。

  中曽副総裁は会見で、この点について「報道があったことは承知しているが、国債の発行、入札は政府の所管であって、詳しい事実関係については承知していない」と述べるにとどめた。

マイナス金利が与野党の論争に

  三菱UFGモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは8日付のリポートで、三菱東京UFJ銀行のPD資格返上検討について、「マイナス金利政策と財政規律欠如が『国債離れ』を助長」していると指摘した。

  民進党の山尾志桜理政調会長は7日のブルームバーグのインタビューで、マイナス金利の弊害として「預金者へのしわ寄せや金融機関の負担増を通じて貸し渋りとか貸しはがしとか、中小企業の皆さんは特に大きな不安を抱えている」と指摘。デメリットが大きいとして撤回するよう求めている。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは9日付のリポートで、参院選を控え、「日銀のマイナス金利政策が与野党間の政策論争のテーマの1つに浮上する可能性が出てきたように見える」と指摘。マイナス金利幅の拡大については、6月会合、さらには恐らく7月28、29日の会合で追加緩和をする場合には、「発動するのを日銀はためらう(量と質だけの追加緩和になる)のではないか」としている。

  

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