海外勢の円債発行復調、欧州銀や新興国のプラス金利を投資家歓迎

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  • メキシコが金利0.4%の3年債発行、欧州銀の起債も相次ぐ
  • 資本規制で欧州銀も発行需要、新興国債もそれなりに選好-みずほ証

メキシコ政府は9日、過去最低の利率でサムライ債を発行した。日本銀行のマイナス金利導入後、外国政府・企業の円建て債発行は停滞していたが、6月は発行が相次いでおり、復調の兆しが見えている。

  2013年に日本政府の保証付きで起債したメキシコは今回、保証なしで年限3年のサムライ債を0.4%の低金利で起債した。残存3年の日本国債の利回りはマイナス0.233%。メキシコは同時に年限5年、10年、20年も含めて計1350億円発行した。同国の外貨建て長期債格付けは、S&Pグローバル・レーティングが「BBB+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「A3」となっている。

  日銀が1月にマイナス金利の導入を発表して以降、運用難の国内投資家による海外投資が増加したため、ドル資金の調達コストが増加。みずほ証券によると、円調達した資金を外貨に転換したい海外発行体には不利な状況となり、発行が激減していた。こうした中でも、バーゼル3など健全性規制への対応を迫られている欧州金融機関や、比較的低格付けの新興国などには円建て債の発行ニーズがあり、起債を再開させる動きが出始めている。

  みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、最近の円債発行増加の動きについて「欧州の銀行が出てきているのは、まだ劣後債などで資本調達をしないといけないからだ」とし、投資家サイドから見ても「イールドが高い物に対する需要は日本ではあり、絶対的な金利水準があるものが求められている」と話した。また、新興国についても「ソブリン格付けが不安定だったが、それなりに選好される」と説明した。

6月の復調

  5月から6月にかけて、仏銀のクレディ・アグリコルとソシエテジェネラルは劣後債を含む計2560億円程度の円建て債を発行。同じく仏銀のBPCEは、今週中にサムライ債の条件決定を行う予定。また、新興国関係ではパナマを本拠とする多国籍銀行が先に円建て債を起債しているほか、ムーディーズでの格付けが投資適格最低の「Baa3」のインドネシアも今月起債を予定している。

  ブルームバーグのデータによると、サムライ債などの外国発行体による円建て債券は、前年比で3月に51%、4月に67%、5月に35%それぞれ減少したが、6月は9日までで既に約2880億円の発行がある。

  日銀が1月にマイナス金利を導入後、長期国債の利回りはマイナス圏に突入。トヨタファイナンスの利率0.001%の新発債のように金利が極端に低下、国内社債での運用が厳しくなり、相対的に利回りの高い外国企業の円建て債券が需要を集めている。野村ホールディングスのデータによると、国内社債の対国債スプレッド37bpに対して、海外勢の円建て債の平均スプレッドは59bp。

  メキシコが1月に発行した年限10年のドル債の表面利率は4.125%だったが、今回の10年物サムライ債の利率は1.09%。また、ドルと円の資金を交換するベーシススワップ取引の10年物は、マイナス金利導入発表前日から、ドルに対する上乗せ金利が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)増加し、96bpで推移。ドル調達コストの上昇を示している。

(最終段落を追加して更新しました.)
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