邦銀3メガ、エネルギー融資で世界最大級の貸し手に浮上

  • 世界信用危機を回避した邦銀が原油関連のリスクに直面
  • MUFG、三井住友、みずほの3行は米シェール企業の債権者

リスク回避姿勢で知られ、世界信用危機で最悪の事態を免れた邦銀が、エネルギー関連融資で世界最大級の貸し手に浮上した。

  三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は5月の決算資料で、石油・ガス関連のエクスポージャーが約850億ドル(約9兆2000億円)となったことを明らかにした。昨年末の発表時点から450億ドル余り増加し、同分野では世界最大級の貸し手の一角となった。ウェブサイトのデータを基に算定すると、三井住友フィナンシャルグループのエクスポージャーは約770億ドルで、みずほフィナンシャルグループは約480億ドル。

  人口減と長年にわたる景気停滞を背景に、国内の融資利ざやが縮小している日本のメガバンクは、原油ブームの際、油田に収益源を求めた。エネルギー関連融資は事業のごく一部に過ぎないものの、融資増が利益の足かせとなっている。マイナス金利が融資利ざやを圧迫し、不良債権費用が増加する中で、MUFGは今期(2017年3月期)に前期比11%の減益になるとの見通しを示した。

  CLSAの日本担当ストラテジスト、ニコラス・スミス氏は「エクスポージャーが全くないと思われていた日本の銀行が、突如としてエクスポージャーで世界最大級となった」と指摘。ただ、邦銀が「海外のエクスポージャー獲得に躍起になっていたことを考えると、驚くべきではないのかもしれない」と述べた。

  デフォルト(債務不履行)が増加する中で、世界各国の銀行の株主はエネルギー融資に関してさらなる情報を求めている。MUFGは最新の情報開示で、製油所やパイプラインなど以前の報告では除外されていた借り手も対象に含めたため、エネルギー関連のエクスポージャーが大幅増加する結果となった。

  MUFGの平野信行社長は5月16日の決算発表の会見で、「資源・エネルギー関連に積極的に融資を行っているのは、これ自体は間違ったことではないと思っている。これまで適切な担保や保証の徴求、引当金の積み増しを行ってきている」と説明した。

  邦銀にとって懸念材料の一つは、米シェール掘削会社の財務状況が急速に悪化していることだ。原油ブームの際に原油価格が1バレル=100ドルでもキャッシュフローを上回る投資を進めていたこれらの企業は、海外での融資拡大に積極的だった邦銀からの与信を利用した。だが、その後、原油価格は30ドルを割り込んだ。法律事務所のヘインズ・アンド・ブーンによると、15年初め以降に破綻した油田サービス会社と石油・ガス生産会社は142社に上る。

与信枠

  三井住友Fは再建協議中の米ストーン・エナジーの債権者の一つでもある。MUFGやみずほFGなどが米リン・エナジーの債権者であることが同社の記録に示されている。リンは5月11日に破産法の適用を申請した際、2つの与信枠で25億5000万ドルを借り入れていた。みずほFGは米ブレイトバーン・エナジー・パートナーズにも融資しており、同社の5月15日の破産申請時点での与信枠での借り入れは12億ドル。

  三井住友Fの宮田孝一社長は5月13日の決算発表での会見で、非日系の借り手に対する石油・ガス関連のエクスポージャーが同グループの総エクスポージャーの6%に相当すると説明。「この中にはオイルメジャーなどいろいろなものが交じってくるが、85%ぐらいは非常に良好なクレジットのものだと言えると思う」と述べた。

  みずほFGの佐藤康博社長は5月13日の決算会見で、クレジットコストについて「今の原油価格をベースにしても、プロジェクト・ファイナンスを含めて大きな塊で計上するのが見えていることは一切ない」と述べた。

  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、「今の時点で心配はないと思うが、来年の方がより特に、原油の価格が変動した場合のリスクを慎重にみるべきだ」と指摘した。

原題:Japanese Banks Expand to Ranks of World’s Biggest Energy Lenders(抜粋)

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