金融機関での安定した仕事が人気-香港は「ユニコーン」不毛の地

  • CBインサイツによるとユニコーンは世界全体で166社、香港ゼロ
  • 安定した仕事を望む文化的土壌が背景との指摘

ルクセンブルクにもチェコにも「ユニコーン」はいる。しかし香港は経済規模がこの欧州2カ国を合わせた分より大きいのに、ユニコーン(一角獣)と呼ばれる企業価値10億ドル(約1070億円)超のベンチャー企業が皆無だ。

  CBインサイツはユニコーンと位置づけられる新興企業166社をリスト化し、その他50社を候補に挙げた。リストにはナイジェリアスコットランドの企業名が見られるが、香港企業はゼロ。長い間、中国本土への玄関口と見なされてきた香港だが、経済は低迷。1-3月(第1四半期)はマイナス成長に陥り、アジア地域で最悪の部類だった。

  ベンチャーキャピタリストや経営学の教授、起業家らは香港にユニコーンが現れないことについて、リスクが高く独力で行う仕事よりも、金融機関や不動産会社での安定した職を好む香港の文化的な土壌が一因だと指摘する。新興企業が進出を狙うことの多い不動産や小売りといった業種が、李嘉誠、李兆基両氏ら香港の一握りの資産家に押さえられ、起業家による挑戦を困難にしている面もある。

資産家の李嘉誠氏

Photographer: Alex Hofford/EPA

  香港大学のアリ・ファルフーマンド教授(経営学)は「リスクテークの度合いが低い。香港は旧態依然としたやり方で金を稼ぐ社会で、若者が基本的に古い方式に縛られている」と述べた。同教授が受け持つ創造性とイノベーションの講座は、大半が中国本土や海外からの学生で占められているという。「ただただ面食らっている。この事実が、香港の問題点を物語っている」と同教授は話す。

  ロンドンに本拠を置くコンサルティング会社プレキンが5月19日に発表した資料によると、今年に入って香港でテクノロジー企業がベンチャーキャピタルの出資を受けたケースは10件。中国は503件、韓国は51件、シンガポール37件、日本が36件だという。

原題:Hong Kong Without Billion-Dollar Unicorn Shows Startup Struggles(抜粋)

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