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世界の金融当局者、「Brexit」恐れて身動き取れず

  • イエレン氏「深刻な経済的影響」、ラジャン氏「かなりの動揺」警告
  • 万が一に備え、英国民投票以降に政策変更が先送りされる可能性

23日に行われる英国民投票で、同国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)が決まる可能性を排除できないとして、世界各国・地域の金融当局は身動きが取れない状態にある。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は6日の講演で、Brexitが現実となれば、「深刻な経済的影響」が見込まれると警告。インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁も7日の記者会見で懸念を表明した。

  Brexitについて、お膝元であるイングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁が同国のリセッション(景気後退)入りを警戒する一方、世界的には金融市場の動揺や貿易の不安定化、既に伸び悩んでいる世界経済への打撃が懸念されている。

  こうしたリスクを背景に世界の主要な金融当局の間では、英国民投票以降に政策変更を先送りする動きが広がる可能性がある。米金融当局は拙速な金融引き締めを避け、欧州中央銀行(ECB)は将来的に必要となる事態に備えて追加緩和カードを温存しそうな情勢。日本銀行も来週の金融政策決定会合では行動せず、7月に追加緩和に動くというのが大半のエコノミストの見方だ。

  このため、英国がEUを離脱すれば、世界的な金融緩和の一層の長期化を意味する可能性がある。

「Brexit」を警戒

  ルービニ・グローバル・エコノミクスのエコノミスト、ブルネロ・ローザ氏(ロンドン在勤)は「金融当局者は慎重過ぎるぐらい慎重になる方を選ぶ。『離脱』が勝利すれば、金融市場ではボラティリティ(変動性)が高まる期間がかなり続くと予想される。心配するのは当然だ」と指摘する。

  主に懸念されるのは市場へのショックだ。ポンドとユーロは下落する公算が大きく、銀行や企業、投資家にとって不確実性が大幅に強まるだろう。今年の世界の成長率が3.2%にとどまり、低インフレが続くと国際通貨基金(IMF)が予想する状況で、世界の需要にとってさらなる打撃となりかねない。

  ルービニ・グローバル・エコノミクスの分析では、英経済へのエクスポージャーが最も大きいのはアイルランドやオランダ、スイスなどで、欧州以外で英国と金融のつながりが最も深いのは香港と南アフリカ共和国という。

  インド中銀のラジャン総裁は金利据え置き決定後の7日の記者会見で、「英国民が実際に『離脱』に賛成票を投じれば、市場はかなり動揺するだろう」と発言。オーストラリア準備銀行(中銀)も同日、市場では比較的平穏な時期が続いてきたが、「特別な」イベントリスクが懸念されるとの見解を示した。

原題:Central Banks Fear Trouble Ahead as Brexit Stress Goes Global(抜粋)

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